2011 Fiscal Year Annual Research Report
二段階活性化型の高精度タンパク標識プローブの精密設計と機能評価
Project/Area Number |
22790009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 清誠 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10302168)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 有機合成化学 / DNA / アルキル化剤 / シクロブタン / pH応答 |
Research Abstract |
申請者がこれまで集積した精密有機合成に関する知見を基盤に細胞内タンパクもしくは核内DNAを選択的に化学修飾できる機能性低分子を開発した。当初はタンパク標識化剤の創製を目指していたが、グルタチオン等のチオール官能基との反応性があまりよくなかったことが明らかとなったため、第二の目標であったDNA標識化剤の開発に研究方向をシフトした。 双環性シクロブタノールに対して強酸性条件で転位反応を検討したが、ほとんど反応が進行しなかった。これは水酸基が脱離するには基質の反応性が充分でなかったためと考えた。そこで、脱離後のカルボカチオンが安定化するよう隣接位に芳香環が縮環した三環性シクロブタノールを設計・合成した。その結果、予想通り格段に転位の反応性が向上した。しかしこの場合の生成物は、スピロシクロプロパンでなく、共存する水で三員環が開環したナフタレン化合物であった。アルキル化剤創製を前提とする場合、生じた3が速やかにDNA等の生体高分子と付加体を形成することは細胞選択性を高めるには好都合と考えられる。 誘導体合成の結果選択した化合物を用いてDNA切断活性の評価を行った。種々の酸性pHの緩衝液中、プラスミドDNAと37℃で24時間培養すると、pHの低下に伴いDNAの切断活性が向上した。またpH6.5の緩衝液中、種々の濃度の5を用いて37℃、24時間培養したところ、最小0.3mMでDNAの切断が見られ、濃度依存的にDNA切断活性が向上することも確認できた。以上のことから研究計画で提案した方法は有効であることを証明できた。実用的な機能性分子の開発にはさらに研究を進める必要がある。
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Research Products
(22 results)