2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ヘキサヒドロクマリン骨格を有する海産天然物の効率的不斉合成法の開発
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22790021
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小林 豊晴 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (40570883)
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Keywords | 合成化学 / 有機化学 / 海洋天然物 / ジテルペノイド / キツンゴライドB |
Research Abstract |
今年度は前年度に引き続き、キツンゴライドBのABC環部の構築を目指すと共に、前年度確立したAB環部構築法をトランス型二環性ラクトンの一般的構築法へと展開することを目的とした。すなわちAB環部の構築の際利用した、α,β-不飽和ラクトンに対する1,4-付加反応、続く閉環メタセシス反応という方法論の一般化を試みた。その一環として始めに、δ-ラクトンとシクロノナン骨格がトランス型に縮環したxeniolide類の基本骨格の構築を目指した。 まず、3-メチル-2-ブテン-1-オールを出発原料とし、ホルムアルデヒドとのエン反応を行い対応するジオールを得た。ジオールをTBS基で保護した後、アリル位をプロモ化し続くビニル基の導入、TBS基の脱保護を行うことで、閉環メタセシスの際反応点となる、末端二重結合を有するジオールとした。続いてモノアセチル化とデス・マーチン酸化により対応するアルデヒドへと変換した。得られたアルデヒドに対して亜鉛とプロモ酢酸メチルによるレフォルマトスキー反応を行ったところアルデヒドへの付加、アセチル基の転位、ラクトン化とアセトキシ基の脱離が一挙に進行し、対応するα,β-不飽和ラクトンを得ることが出来た。続いてxeniolide類の基本骨格の構築に必要な側鎖の1,4-付加反応による導入を試みた。モデル化合物として2-シクロヘキセノンを用い、別途調整したアリルハライドとの1,4-付加反応を種々検討したところ、亜鉛錯体から調整した銅アート錯体を用いることで反応が良好に進行することを見いだした。今後すでに合成しているα,β-不飽和ラクトンに対して確立した条件を用い1,4-付加反応を行い、続く閉環メタセシス反応によりxeniolide類の基本骨格の構築を行う予定である。またここで確立した1,4付加反応の条件をキツンゴライドBのABC環部の構築にも適用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに不斉合成への応用が可能なキツンゴライドBのAB環構築法を確立しており、今年度C環構築に必要な側鎖の1,4-付加反応による導入法の条件を見いだしている。まだ全合成を達成するには至っていないが、これら方法論を利用すれば、キツンゴライドBの不斉合成を実現出来ると考えている。またAB環部構築法を基にしたトランス型二環性ラクトンの一般的構築法の開発を検討しており、この点に置いては当初計画よりも進展しているといえる。よって総合的に判断するとおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通りまずキツンゴライドBの全合成を目指す。また新たな研究計画としてAB環部構築法を基にしたトランス型二環性ラクトンの一般的構築法の確立を行う予定である。これが実現できれば、トランス型二環性ラクトンを有する様々な天然有機化合物合成への応用が期待できると考えている。
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