2011 Fiscal Year Annual Research Report
消化管・呼吸器疾患におけるストレスタンパク質の役割
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22790072
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 健一郎 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (30555777)
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Keywords | 消化管 / 呼吸器疾患 / ストレス |
Research Abstract |
今年度はストレスタンパク質の中でも、特にSODに関する研究が進んだので、報告する。最も傷害性の強い活性酸素であるスーパーオキシドアニオンを消去するSODは古くから注目されてきたが、SODの血中安定性、及び組織親和性は低く、臨床試験は全て失敗に終わった。そこで我々は、SODに生体膜成分であるリン脂質を結合させたPC-SODを開発し、血中安定性が80倍、組織親和性が50-100倍上昇していることを見出した。我々はIPF患者を用いた第二相臨床試験を行い、PC-SODの静注により、SP-AやLDHなどの血液マーカーが有意に改善することを見いだした。しかしIPFは慢性疾患であり、その治療は長期に亘る。またこの臨床試験では一ヶ月の投与後、マーカー値が元に戻る傾向があった。そこで我々は、患者QOLを維時しながら毎日の投与が可能な吸入投与に着目し、PC-SODの吸入製剤を考案した。そしてIPFのマウスモデルとして汎用されているブレオマイシン依存の肺線維症モデルで検討し、PC-SODの吸入投与により、静注没与に比べてより顕著な肺線維化抑制効果を見いだした。また最近、PC-SODの吸入投与により、ブレオマイシン依存の活性酸素、及びTGF-β1(線維化を促進するサイトカイン)の上昇が抑制されることを見いだし、これらの作用を介してPC-SODが肺線維化を抑制していることを示唆した。PC-SODの吸入投与により、ブレオマイシン依存の肺線維化が抑制されるだけでなく、肺メカニクスの変化(肺エランスタンス(肺の固さの指標)の上昇)や呼吸機能の低下(FVCの低下)も抑制されることを見いだした。ブレオマイシンにより線維化を誘導した後にPC-SODを吸入投与した場合でも有効性(治療効果)を確認した。これらの結果は、PC-SOD吸入製剤の長期投与によるIPF治療の可能性を示す重要なものである。
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Research Products
(3 results)