2010 Fiscal Year Annual Research Report
革新的虚血性疾患治療薬の開発を目指した一酸化窒素運搬タンパク質の創製
Project/Area Number |
22790162
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
異島 優 熊本大学, 薬学部, 特任助教 (00457590)
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Keywords | ヒト血清アルブミン / 一酸化窒素 / 虚血性疾患 / S-ニトロソ化 / 臓器移植 / NOトラフィックタンパク質 / 遺伝子組換え / 虚血再灌流障害 |
Research Abstract |
本研究は、NOトラフィック製剤の創製と虚血性疾患、臓器移植への臨床応用のための有効性・実用性評価を最終目標とする。本年度は、臓器保存液へのNOトラフィック製剤の応用を目指し、様々なNO付加型アルブミンを作製した。具体的には、内因的S-ニトロソ化アルブミンを基本骨格とし、化学的架橋剤を用いて高付加型NOアルブミンやマンノース受容体ターゲティング型であるマンノース付加NOアルブミン、さらにはアルブミン二量体にNOを付加したNOアルブミンダイマーを作製し、その臓器保存液への有用性を評価した。方法は、冷阻血24時間後の温阻血12時間において、NO付加型アルブミン添加群と現在のU臓器保存液の第一選択剤であるUniversity of Wisconsin液群で比較検討した。その結果、niversity of Wisconsin液と比較し、最も効果が高かったのは、内因的S-ニトロソ化アルブミンであった。これは、臓器保存中のNO補充量として、輸送効率が至適であったためだと考えられる。つまり、他のNOトラフィック製剤は、細胞内へのNO供給量が過剰過ぎて、NOの二面性の一つであるアポトーシス作用が強く発揮されたために、臓器保護効果が減弱したと考えられる。今回の結果は、内因的なS-ニトロソ化アルブミンの絶妙なNOの放出能を示すだけでなく、様々なNO付加型アルブミンの作製にあたり、十分にその特性を検討し、様々な臨床応用に対して、使い分ける必要があることが示唆された。しかしながら、University of Wisconsin液と比較しても有意に臓器保護効果が高いS-ニトロソ化アルブミンの有用性は、今後脳死移植の増加に伴い、臓器保存時間の延長が望まれることが予想されるため、益々高まってくるものと考えられ、極めて重要な知見である。
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Research Products
(6 results)