2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790285
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沖田 圭介 京都大学, iPS細胞研究所, 講師 (90512434)
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Keywords | 人工多能性幹細胞 / iPS細胞 / 初期化 / ベクター |
Research Abstract |
本研究の開始後、国内外の研究室からiPS細胞の樹立効率を改善する様々な因子が報告された。例えば、ホンらは初期化過程においてp53-p21経路を抑制することでips細胞の樹立が高まることを示した(Nature 460,1132-1135(2009))。また、中川らはc-Mycの代わりにL-Mycを使用することでiPS細胞の作製効率が上昇することを示した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 107,14152-14157(2010))。 本年度、申請者はこれらの知見を組み合わせることで、ヒトiPS細胞を従来よりも効率よく樹立することに成功し、Nature Methods誌にて発表した(Nature Methods, in press)。この方法は、遺伝子導入にプラスミドを用いているため、ウイルスの使用に伴う危険性が無い。また、ゲノム中へプラスミドが取り込まれていないiPS細胞が得られていることから、従来のレトロウイルスベクターによる方法よりも安全性が高くなっていると考えている。同じ方法で、免疫拒絶反応に関与するHLA-A,B,C,DRがいずれもホモである歯髄細胞2株からもiPS細胞を作製した。計算上は2株で約20%の日本人への移植適合性がある。これらのiPS細胞がドーパミン神経細胞や網膜色素上皮細胞に分化することも確認した。 本研究成果は、将来期待されている細胞移植治療に利用可能なiPS細胞バンクを作る上で非常に重要な知見である。
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