2010 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞からの人工多能性幹細胞樹立過程における細胞間シグナリングの解明
Project/Area Number |
22790286
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青井 貴之 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (00546997)
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Keywords | 人工多能性幹細胞 / 細胞間シグナリング / NF-κB |
Research Abstract |
体細胞のiPS細胞からの人工多能性幹細胞樹立過程による細胞間シグナリングの解明を行うことを目的とし、以下の研究を行った。 iPS細胞樹立過程における遺伝子発現の変動をマイクロアレイを用いて網羅的に調べた。すると、細胞間シグナリングに関与する因子の変動が多数見られた。ここで見出された因子の数は、其々の中和抗体あるいはノックダウン等を行うことで、特に重要な因子を絞り込むという方策をとるには数が多すぎると考えられ、他の方法で、より重要な因子を探索することが必要と考えられた。 そこで、まず、NF-κBシグナルに着目することとした。NF-κBは、細胞間シグナリングにおける重要な細胞内シグナルの担い手であり、発癌における細胞間シグナリング(いわゆる、Oncogene induced cytokine phenotype)において、その下流因子が重要な役割を担っていることが知られている。 NF-kBシグナリングのiPS細胞誘導における役割を調べるため、NF-kBの活性化に必須であるIKK-Bのホモfloxedマウスを用いた。同マウスの13.3日胚より、胎児線維芽細胞を樹立した。この胎児線維芽細胞にレトロウイルスを用いて、初期化因子(Oct3/4,Sox2,Klf4,cMVCの4因子、あるいは、ここからcMycを除いた3因子)に加え、Creリコンビナーゼを発現させたもの(すなわちIKK-Bが欠失し、NF-kBの活性化が起こらない)と、発現させないものを比較した。すると、出現するiPS細胞のコロニーの数は前者において有意に少なかったことから、NF-kBシグナリングはiPS細胞誘導において正の効果をもつと考えられた。誘導過程の内、どの段階でNF-kBが重要であるのか、また、その下流因子は何か、等を調べている。
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