2010 Fiscal Year Annual Research Report
RNAウイルスの宿主RNA分解機構からの回避機序に関する研究
Project/Area Number |
22790431
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神谷 亘 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (60551421)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / RNA |
Research Abstract |
タンパク合成に用いられたmRNAは、5'末端から始まるdecapping反応と3'末端から始まるdeadenylation反応による二つのRNA分解機構により速やかに分解される。いくつかのRNAウイルスは、宿主細胞のRNAと同様にcap構造とpoly(A)構造を持っていることから、そのようなRNAウイルスは、宿主RNA分解機構から逃れながら自身のRNAを効率よく維持し続けなければならない。本研究では、RNAウイルスの一つであるSARSコロナウイルスをモデルとして、RNAウイルスの宿主RNA分解機構からの回避機構を明らかにすることを目的として以下の研究を実施した。SARSコロナウイルスのnsp1タンパク質は、翻訳阻害とRNA分解を引き起こすことを以前に明らかにした。しかしながら、SARSコロナウイルスは、nsp1タンパク質による翻訳阻害とRNA分解促進条件下においても増殖できることから、SARSコロナウイルスのウイルス由来のRNAは、nsp1タンパク質が引き起こす翻訳阻害とRNA分解促進を回避する機構を有していると考えられる。そこで、この回避機構について検討した。その結果、nsp1タンパク質が、ウイルスRNAの末端に存在する非翻訳領域に特異的に結合することがわかった。このことから、nsp1タンパク質が、ウイルス由来のRNAと特異的に結合することで、nsp1タンパク質による翻訳阻害やRNA分解から逃れている可能性が考えられた。今後は、より詳細にnsp1タンパク質とウイルス由来のRNAとの結合を解析し、どのようにウイルスRNAがnsp1タンパク質が引き起こす翻訳阻害とRNA分解から逃れているのか解析する予定である。
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Research Products
(1 results)