2011 Fiscal Year Annual Research Report
SARS-CoVに対する不活化ワクチンの副反応機序の解明とその改善について
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22790444
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
岩田 奈織子 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (10360695)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / ワクチン / 動物モデル |
Research Abstract |
再興の可能性がある重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)に対する効果的かつ安全なワクチン開発は急務である。既に我々は不活化ワクチン接種後のウイルス感染時に肺炎が悪化する事をSARS発症マウスモデルを用いて明らかにした。H22年度は、このモデルを使用し、ウイルス感染を模倣した不活化ワクチンの免疫効果と副反応の検討を行い、UV-V免疫群で見られた肺局所の好酸球浸潤は、ウイルス感染後にTh2サイトカインが優位に発現することが原因と考えられ、また、この現象はアジュバントを工夫することで軽減する可能性があることが分かった。 H23年度は中和抗体の感染防御効果と副反応の関連性について検討を行った。UV-Vをマウスに6週間隔で2回皮下接種し、ウイルスチャレンジ前に別に準備したSARS-CoV感染マウスから採取した非働化血清をUV-V免疫マウスに腹腔内投与し、対照群にはUV-Vで免疫したマウスの非働化血清を投与した。ウィルス感染後3,10日目で材料を採取し、肺の病理、ウイルス量、サイトカイン量などの解析を行った。UV-V免疫マウス血清を腹腔内投与したマウスはウイルスチャレンジ後、肺局所に好酸球浸潤を示さなかった。しかし、UV-Vで免疫したマウスにSARS-CoV感染マウス血清を腹腔内投与した場合には、やはり肺局所に好酸球浸潤が見られた。これらの結果から、UV-V免疫で誘導された中和抗体が感染後の好酸球浸潤に関与している可能性は低くなった。ただし、UV-V免疫血清を腹腔内投与した群はSARS-CoV感染マゥス血清を腹腔内投与した群よりも感染後の体重減少が重度だったことから、再度、中和抗体価の高い免疫血清を用いて実験を行い、病変を確認する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
節電対応により、BSL3施設が夏期期間は使用できないため、限られた期間で動物実験を行っているが、それほど遅れる事なく、研究は進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は中和抗体の感染防御効果と副反応の関連性の再実験およびCytotoxic T cell(CTL)活性の感染防御効果と副反応の関連性について研究を実施する。夏期期間には節電対応のため、P3施設での動物実験ができない事から、その期間以外で動物実験を行い、夏期期間にそれらのin vitroでの解析ができるように計画を進める。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Immune response against EEV and IMV in non-human primates vaccinated with a highly attenuated smallpox vaccine LC16m8 and protection from lethal monkeypox2011
Author(s)
Masayuki Saijo, Yasushi Ami, Yuriko Suzaki, Noriyo Nagata, Naoko Yoshikawa (Iwata), Hideki Hasegawa, Momoko Ogata, Shuetsu-Fukushi, Tetsuya Mizutani, Tetsutaro Sata, Ichiro Kurane, Shigeru Morikawa
Organizer
International Union of Microbiological Societies 2011 Congress
Place of Presentation
Sapporo
Year and Date
20110900