2012 Fiscal Year Annual Research Report
SARS-CoVに対する不活化ワクチンの副反応機序の解明とその改善について
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22790444
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
岩田 奈織子 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (10360695)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ウイルス / 感染症 / ワクチン / 動物モデル |
Research Abstract |
再興の可能性がある重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)に対する効果的かつ安全なワクチン開発は急務である。既に我々は不活化ワクチン (UV-V) 接種後のウイルス感染時に肺炎が悪化する事をSARS発症マウスモデルを用いて明らかにした。H22年度は、このモデルを使用し、TLRリガンド併用不活化ワクチンの免疫効果と副反応の検討を行い、UV-V免疫群で見られた肺局所の好酸球浸潤は、ウイルス感染後にTh2サイトカインが優位に発現することが原因と考えられ、また、この現象はアジュバントを工夫することで軽減する可能性が示された。H23年度は中和抗体の感染防御効果と副反応の関連性について検討を行った。非免疫マウスにUV-Vで免疫したマウスの非働化血清をウイルス感染前に投与した。UV-V免疫マウス血清を投与したマウスは感染を防御したが、肺局所に好酸球浸潤を示さなかった。この結果から、UV-V免疫で誘導された中和抗体は感染防御に働くが、感染後の好酸球浸潤に関与している可能性は低い事が示唆された。そこで、H24年度はUV-Vワクチン免疫後の感染肺における好酸球浸潤とメモリーT細胞の関連について調べた。UV-V免疫マウスにCD4+ T細胞、CD8+ T細胞に対する抗体を投与し、各T細胞を枯渇させ、その後ウイルス感染を行った。その結果、組織学的にUV-V免疫群は急性肺障害の像を呈しなかったが、血管周囲に好酸球を含む炎症細胞の浸潤が見られた。この細胞浸潤はいずれの枯渇群でも認められ、その浸潤細胞数も対照群と有意差はなかったため、この現象にメモリーT細胞は、関与していないと考えられた。これらの実験から、UV-V免疫マウスのウイルス感染後に見られる肺局所の好酸球浸潤は、UV-V免疫によって得た中和抗体やメモリーT細胞により引き起こされるものではないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)