2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児科病棟における薬剤有害事象の発生率測定及びリスク因子解明のための臨床疫学研究
Project/Area Number |
22790494
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
作間 未織 近畿大学, 医学部, 講師 (60349587)
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Keywords | 医療の質 / 薬剤性有害事象 / 薬剤関連エラー / 小児 / 臨床疫学研究 |
Research Abstract |
本年度は、一次データ収集から二次、三次データレビューの全ての過程を終え、現在最終結果の詳細について解析中である。一次データ収集は、昨年度と同様、トレーニングマニュアルに沿って十分に事前訓練された小児科医師1名、小児科看護師3名、管理栄養士1名の計5名が行い、全対象患者のカルテ、疑義照会、インシデントレポートを経時的に調査し、患者背景と薬剤性有害事象及び薬剤関連エラーに関する情報を網羅的に収集した。その後、独立した2名の医師が、詳細な二次データレビューを行い、一次データ収集により収集されたイベントを薬剤性有害事象、潜在性薬剤性有害事象、除外に再分類すると共に、薬剤関連エラーの有無を評価した。更に、(潜在性)薬剤性有害事象については、種類、重症度などの詳細を評価し、薬剤関連エラーについては、エラーの発生段階、その予防可能性や責任職種などについても評価分類を行った。三次レビューは、二次レビューにより同定されたイベントとその分類評価についてConsistencyを確認する作業であり、全てのデータについて2名の医師が共同で行った。 対象患者は、設定期間中に対象2施設の小児科病棟、新生児集中治療室、及び小児集中治療室に入院した全患者、並びに、同期間中に対象施設の他病棟に入院した15歳以下の患者全てで、計1189名(総入院日数12691日)であった。これら1189名における薬剤性有害事象の発生頻度は、1000患者日あたり61件、薬剤関連エラーの発生頻度は1000患者日あたり33件であった。本研究で得られた本邦の小児入院患者における薬剤性有害事象ならびに薬剤関連エラーの疫学は、本邦の小児医療現場の現状を初めて明らかにするものであり、今後の小児医療安全対策の推進改善を行うための基盤になるという観点から、本研究から得られる結果は重要かつ意義が大きい。
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Research Products
(1 results)