2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790596
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾関 宗孝 京都大学, 医学研究科, 助教 (80549618)
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Keywords | 法医検査 / 死後経過時間 / 生体時計 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
本研究は時計遺伝子の発現量から死亡時刻を推定する新規な方法を確立するとともに、法医サンプルとしてこれまで利用されてこなかったRNAの有効利用についても考察することを目的としている。助成申請時においては、平成22年度に実施する動物モデルを用いた実験からの知見を平成23年度にヒトへ応用する計画であった。しかしながら動物モデルでの実験において、動物個体差に起因する実験精度に問題があったことにより当初の計画以上に時間がかかったことからヒトへの応用は達成できなかった。 平成22年度での知見からサンプリングに適する標的臓器として脳、肝臓、腎臓、および食道を挙げた。このうち、実務上比較的取り扱いやすく、このなかでも高発現が認められた脳と腎臓の2つを選択し、以下の実験に供した。0時を始めとして6時間ごとに3個体のマウスを頸椎脱臼により安楽死させ、mRNA調製のために脳およ腎臓を採取した。RT-PCRによりマウス生体時計遺伝子Clock、Bmal、Cry、Perの4遺伝子の各時間における発現量を半定量的に比較した。ポリアクリルアミド電気泳動において、各遺伝子の腎臓における時間ごとに変化は脳における変化に比較しよりダイナミックであった。Clockは1日を通して比較的一定量が発現しているのに対し、BmalやPerは時間によりほぼ発現がなくなっていることが観察された。さらにリアルタイムPCRにより定量的に比較を行った。βアクチンを1として各遺伝子の発現量を評価すると、BmalとPerの発現パターンに着目することで大まかに死亡時刻を把握することが可能であるように観察された。しかしながら動物個体差が依然として大きいことから、本研究での明確な結論付けは困難であると判断した。
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