2011 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝障害に対する桂枝茯苓丸の効果
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22790615
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤本 誠 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 助教 (30377337)
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Keywords | メタボリックシンドローム / 非アルコール性脂肪性肝障害 / NAFLD / NASH / 漢方 / 桂枝茯苓丸 / pioglitazone |
Research Abstract |
前年度の実験結果は、陽性対照群として設定したpioglitazoneを含め、薬剤投与群がいずれも病的モデル群よりも悪い結果を示したため、残ったサンプルを用いて再検を行った。しかし、桂枝茯苓丸投与群、pioglitazone投与群は血清adiponectin値がコントロール群(病的モデル群)よりも有意に低い値を示し、血漿総コレステロールはコントロール群よりも有意に高い値を示した。その他の血液評価項目である血漿インスリン、レプチン、レジスチン、フェリチン、ALT、遊離脂肪酸、肝体重比、脂肪体重比は有意差は観察されなかった。また、肝組織中の遊離脂肪酸、中性脂肪、コレステロールも有意差が観察されなかった。前年度に実施した非アルコール性脂肪性肝障害の評価で最も重要な病理組織学的評価結果と合わせると、桂枝茯苓丸の投与は肝組織中の中性脂肪沈着をコントロール群よりも有意に低下させることは明らかになったものの、そのほかの評価項目については無効であった。ただ、今回の実験では、pioglitazone群もまた、陽性対照薬としてまったく機能しておらず、これは我々の過去の実験だけでなく、他の研究機関の報告とも異なるものであった。我々が過去に行った実験系と今回の実験系との違いは、飼育環境の違いのみである。すなわち、今回の実験の飼育は外部動物飼育業者に委託し、クリーンルームにおいて放射滅菌処理をした飼料を投与したが、過去の実験ではそこまでの清潔環境下では飼育していなかった(本学の動物実験飼育施設内で実施した)ということである。NAFLDの進行と腸内細菌叢との関連が報告されているが、クリーン環境下での飼育は、非クリーン環境下での飼育とは、実験動物の腸内細菌叢が異なる可能性があり、今後、飼育環境を変えて実験を行うことによって、今回の実験結果の原因を解明できる可能性がある。
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