2010 Fiscal Year Annual Research Report
漢方薬「六君子湯」のカロリー制限模倣薬としての可能性を検証する
Project/Area Number |
22790620
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小松 利光 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 技術職員 (70380962)
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Keywords | 東洋医学 / カロリー制限 / 抗老化 |
Research Abstract |
本研究では,漢方薬「六君子湯」の短期投与が血中のグレリン濃度を上昇させ,視床下部NPYの発現を介して摂食を亢進するメカニズムが,カロリー制限で見られる現象と類似している点に着目し,六君子湯のカロリー制限模倣薬としての可能性を検証した。C57BL/6Jマウスを生後12週齢より通常食自由摂食群(AL),六君子湯投与群(通常粉末飼料に対し2%配合,RKT),カロリー制限群(ALに対して30%摂食量カット,CR)に分けて12週間以上飼育した。RKT群はALより有意に体重を増加し,脂肪重量が有意に増加していた。しかしながら,摂食量はALと変わらなかった。血中の活性型グレリン濃度は,CRでは有意に上昇したが,RKTではALと変わらなかった。RKT群の脳におけるNPY, AGRP, POMC, CARTのmRNA量は,CRとは異なり,有意な変化がなかった。本実験では,グレリン及び神経内分泌系の遺伝子発現の変化を捉えることはできなかったが,六君子湯長期投与が摂食量に影響を与えずに脂肪蓄積を引き起こすことが明らかになった。一方,摂食量をALの95%程度に抑えたRKT食を長期に与えた場合,CRに近いグレリンとNPYの上昇が確認されたことから,今後はカロリー制限補助剤としての可能性について検証する予定である。さらに,六君子湯長期投与がCRと同様に酸化ストレス耐性を誘導するか評価するため,活性酸素を発生させる3-nitropropionic acidをC57BL/6Jマウスに腹腔内投与(100mg/kg BW)し,4時間後,24時間後の肝臓におけるストレス応答遺伝子の発現を定量した。CRおよびRKT群のp21,Gadd45a及びBim mRNAレベルが投与後4時間で有意に上昇したことから,六君子湯長期投与が酸化ストレス耐性を誘導することを示唆している。
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