2011 Fiscal Year Annual Research Report
Birt-Hogg-Dube症候群の網羅的遺伝子診断と肺嚢胞形成機序解明の試み
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22790767
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉川 美加 順天堂大学, 医学研究科, 助教 (90327792)
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Keywords | BHD症候群 / 嚢胞性肺疾患 / 気胸 / 遺伝子検査 |
Research Abstract |
1)DHPLC法と定量リアルタイムPCR(Q-PCR)法を用いた多発性肺嚢胞を持つ患者のFLCN遺伝子変異解析では、現在までに120例ほどの症例を蓄積した。蓄積した個々のFLCN遺伝子変異型のうち例数の多い変異型3種類と肺・皮膚・腎に生じるBHD症候群3大臨床症状の関連性を検討したが明らかな差は認められなかった。皮膚疾患は約20-30%に認め、腎腫瘍は5%前後に認めた。気胸発症年齢は30歳代から40歳代にピークがあり、その後発症頻度は減少していた。気胸の家族歴を約70%前後に認め、両側同時気胸を発症する事例を約10%に認めた。今後も症例を集積し、検討を継続する予定である。 DHPLC法よりもハイスループットな解析法を求めてHRM(High Resolution Melting)法を試みたが、変異検出の正確性に劣っており思ったほどの高速化も行えなかったため、HRM法への移行は見送った。 2)DHPLC法により変異を同定できない症例についてDNAマイクロアレイ解析を行ったが、コピー数異常は検出できなかった。プローブが配置されていない微細な領域にコピー数変化が起きている可能性と、疾患関連SNPの有無の可能性について検討中である。 3)BHD患者肺組織から単離した線維芽細胞と肺癌手術例の非癌部から単離した線維芽細胞(コントロール線維芽細胞)の遊走能及びゲル収縮能について比較した結果、患者肺由来線維芽細胞は遊走能が有意に低下していることがわかった。また、Q-PCRを行った結果TGFβ1、finronectin、type I collagenの発現量が低下していることが示された。 これらの結果を確認するため、ヒト胎児肺由来線維芽細胞(HLF)をsiRNAによりFLCNをノックダウンして機能変化を検討した。その結果、遊走能が低下し、患者由来肺線維芽細胞を用いた実験結果と合致していた。
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