2010 Fiscal Year Annual Research Report
近位尿細管特異的SIRT1過剰発現マウスの慢性腎臓病抑制効果の検証
Project/Area Number |
22790800
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
長谷川 一宏 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30424162)
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Keywords | 腎臓内科学 / 慢性腎臓病 / 近立尿細管 / SIRT1 |
Research Abstract |
我々の研究室では、ミトコンドリア機能の低下によるエネルギー代謝異常とインスリン抵抗性、糖尿病発症への関与の重要性を報告した。(宮下和季、伊藤裕:Diabetes 2009)ミトコンドリアのregulatorとして、カロリー制限等で誘導される長寿遺伝子Sirt1は、PGC1α等を介するミトコンドリアの数的増加/機能改善を介し、効率的ATP産生亢進による急性/慢性ストレスに抵抗し、臓器保護作用を発揮する事が知られている。我々は、腎Sirt1がFoxo3a・カタラーゼを活性化し、急性酸化ストレス下の活性酸素を除去することで、尿細管アポトーシスを抑制する事を、In Vitroの系で明らかにした。(2008年BBRC) In vivoにおける機能を検討する為、近位尿細管特異的Sirt1過剰発現マウス(Tg群)を新たに作成し(2010年JBC)、WT・Tg群にシスプラチン投与(Cis)を行ない、急性腎障害(光顕・電顕、採血)、尿細管アポトーシス(TUNEL)の変化、細胞内小器官障害としてペルオキシソーム(Per)やミトコンドリア(Mit)の数的変化(Per 数=PMP70・免疫電顕、Mit数=Mit DNA数)および機能変化(Per機能=カタラーゼ、ACOX、Mit 機能=MCAD)等で検討した。その結果、WT群へのCisで尿細管アポトーシス増加・急性腎障害、Per数的減少、機能低下による脂肪酸β酸化障害を認め、Tg群で抑制された。通常、尿細管君perやMitの脂肪酸β酸化はATPを産生し、その代償にROSが発生し、カタラーゼがすみやかにROSを分解する。腎Sirt1はCisによるカタラーゼ活性障害に拮抗し、その活性を保つ事で、PerやMit内酸化ROS軽減、脂肪酸β酸化、ATP産生を保持する腎保護作用を明らかにした。現在、慢性腎障害におけるSirt1腎保護作用について我々のTgマウスを用いた解析、新たに腎臓特異的Sirt1欠損マウスを作成し、解析を進めている。
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Research Products
(3 results)