2010 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部RAS系の破綻が中枢ミトコンドリア障害を介したエネルギー代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
22790852
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
和田 努 富山大学, 医学薬学研究部(薬学), 助教 (00419334)
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Keywords | 視床下部 / 炎症 / レニン・アンギオテンシン系 / 糖尿病 |
Research Abstract |
視床下部はエネルギー代謝調節の中枢であり、摂食量や末梢組織のエネルギー消費を調節している。糖尿病や肥満状態ではこの視床下部の調節機能が損なわれ、過食や肥満が助長される。これらは中枢のレプチン抵抗性やインスリン抵抗性が関与しており、その病態メカニズムとして小胞体ストレスなどの関与が示唆される。そこで、本研究の目的として、肥満や糖尿病病態において視床下部におけるレニンアンギオテンシン系(RA)や炎症、活性酸素種(ROS)の関与を想定し、研究を立案した。初年度は以下の成果を得ている。 (1)糖尿病モデルマウスにおける中枢の炎症状態 糖尿病モデルマウスであるob/obマウス、db/dbマウス、卵巣を摘出した雌マウスに高脂肪食負荷を与えたマウス(OVX+HF)において、視床下部における炎症性サイトカインの発現亢進を認めた。OVX+HFマウスにエストロゲン(E2)を投与することで視床下部の炎症は一部抑制され、その結果マウスのエネルギー消費は亢進し、全身の耐糖能とインスリン感受性は改善した。 (2)単球系細胞の炎症性サイトカイン、ROS産生に及ぼすRA系阻害剤の影響 脳内のマイクログリア細胞を想定し、単球系細胞における炎症性サイトカインに及ぼすRA系阻害剤の影響を検討したところ、今までの報告とは異なり、明らかな炎症性サイトカインの抑制効果は認められなかった。本研究成果のメカニズムにつき、今後詳細に検討する予定である。 (3)抗アルドステロン剤が全身の糖脂質代謝と脂肪性肝炎に対する影響 抗アルドステロン剤は高果糖高脂肪食負荷によるNASHモデルマウスにおいて、脂肪組織の炎症と肝臓での脂肪性肝炎を抑制することでインスリン感受性と脂質代謝を改善することを明らかにした。今後中枢での作用につき検討を予定している。
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