2010 Fiscal Year Annual Research Report
高病原性鳥インフルエンザH5N1のヘマグルチニン蛋白質による病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
22790953
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大道寺 智 大阪大学, 微生物病研究所, 特任助教 (80432433)
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Keywords | 高病原性インフルエンザウイルス / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究では呼吸器上皮細胞に対してアポトーシスを誘導する高病原性鳥インフルエンザH5N1ウイルスのHemagglutinin (HA)蛋白質が生体ではどのような病態を示すのかを動物モデルとしてマウスを使った実験で明らかにしていくことを主たる目的としている。 マウスに対しA/Crow/Kyoto/53/2004 (H5N1)およびヒトに病原性を示さないA/Duck/Hong Kong/820/80 (H5N3)、さらに2004年から2007年までにトリやヒトから分離された様々なH5N1株のHA遺伝子をもつrecombinant H5N3KyotoHA (rH5N3KyotoHA)、rH5N3ThaiHA、rH5N3IndonesiaHA、rH5N3ShanghaiHA、rH5N3EgyptHAを感染させ体重変化と死亡率から病原性を評価した結果、A/Crow/Kyoto/53/2004(H5N1)および上記rH5N3H5N1HAでは体重減少が著しく、高い死亡率を示したがA/Duck/Hong Kong/820/80 (H5N3)では体重減少が認められず、死亡率も低かった。また一方で、感染後マウス肺内部でのウイルス増殖量を評価した結果、死亡率の高かったA/Crow/Kyoto/53/2004 (H5N1)およびrH5N3H5N1HAを感染させたマウス肺内では高率にウイルスが増殖していた。 これらの結果は細胞を用いたin vitroの実験系においてH5N1ウイルスのHAが強い細胞傷害とアポトーシスを誘導する当研究室で以前までに得られた結果(Daidoji et al., 2008)と一致している。そのことからマウスを用いたin vitroの動物実験系においてもH5N1のHA蛋白質はH5N1ウイルスが哺乳動物で病気を引き起こすのに重要な役割をしていると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Novel type II transmembrane serine proteases, MSPL and TMPRSS13, Proteolytically activate membrane fusion activity of the hemagglutinin of highly pathogenic avian influenza viruses and induce their multicycle replication.2010
Author(s)
Okumura Y, Takahashi E, Yano M, Ohuchi M, Daidoji T, Nakaya T, Bottcher E, Garten W, Klenk HD, Kido H
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Journal Title
J Virol
Volume: 84
Pages: 5089-5096
Peer Reviewed
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