2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内神経前駆細胞におけるp27Kip1の核内移行メカニズムに関する研究
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22791001
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三橋 隆行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80338110)
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Keywords | 神経発生 / 細胞周期 / プロモータ / 神経幹細胞 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
これまでの研究により、ダイオキシン(TCDD)を胎内曝露すると、神経前駆細胞内p27Kip1タンパク質の細胞内局在が変化し分化誘導に異常を生じること、その結果、大脳皮質が菲薄化することが判明した。さらにp27Kip1ノックアウトマウスでは、TCDD胎内曝露による催奇形性が消失することがわかった。そこで平成22年度は、p27Kip1タンパク質の核内移行メカニズムを解明することを目標に、p27Kip1およびTCDDが作用するAhRに対する免疫沈降実験を行った。 大脳皮質発生各段階の神経前駆細胞の細胞核および細胞質抽出液を、CD-1マウス胎児前脳の神経前駆細胞より以下の方法で用意した。妊娠7日目にTCDDまたは対照としてのコーンオイルを母マウスに経口投与し、妊娠10-16日目の母マウスから胎仔を摘出した。実体顕微鏡下で胎児前脳頭頂部を眼科用剪刀で切断、神経前駆細胞が存在する脳室帯を分離した。分離した組織をピペッターで機械的に破砕、組織内の細胞を一様に分離し、界面活性剤を含まない溶解バッファー内でペレットペッスルにより機械的に緩徐に細胞膜を破壊した。その際細胞核を破壊しないよう、細胞核を染色するクレシルバイオレット染色液によりサンプルの一部を染色、顕微鏡下で細胞核成分が破壊されていないことを確認した。サンプルを遠心分離し細胞核成分と細胞質成分を用意した。 これらのサンプルにより、1)核成分を用いたp27Kip1に対する免疫沈降実験、2)細胞質成分を用いたAhRに対する免疫沈降実験を行った。しかし、免疫沈降に最適な条件を見出すことができず、p27Kip1およびAhRと相互作用するタンパク質の同定には至らなかった。原因として、1)抗体の抗原結合能が不十分であること、2)目的タンパク質量の不足、3)核成分と細胞質成分を分離する際に使用したバッファー組成の問題、などが考えられた。
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