2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体内神経前駆細胞におけるp27Kip1の核内移行メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
22791001
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三橋 隆行 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (80338110)
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Keywords | 神経発生 / 細胞周期 / プロモータ / 神経幹細胞 / 大脳皮質 |
Research Abstract |
これまでの研究により、ダイオキシン(TCDD)胎内曝露によりp27Kip1タンパク質の神経前駆細胞内局在が変化し分化誘導に異常を生じること、その結果、大脳皮質が菲薄化することを明らかにした。さらにp27Kip1ノックアウトマウスでは、TCDD胎内曝露による大脳皮質の菲薄化が認められないことが判明した。そこで平成23年度は前年度に引き続き、p27Kiplタンパク質の核内移行メカニズムを解明することを目標に、p27Kip1およびTCDDが作用するAhRに対する免疫沈降実験を行った。 大脳皮質発生各段階の神経前駆細胞の細胞核および細胞質抽出液を、CD-1マウス胎児前脳の神経前駆細胞より以下の方法で用意した。妊娠7日目にTCDDまたは対照としてのコーンオイルを母マウスに経口投与し、妊娠10-16日目の母マウスから胎仔を摘出した。実体顕微鏡下で胎児前脳頭頂部を眼科用勇刀で切断、神経前駆細胞が存在する脳室帯を分離した。分離した組織をピペッターで機械的に破砕、組織内の細胞を一様に分離し、界面活性剤を含まない溶解バッファー内でペレットペッスルにより機械的に緩徐に細胞膜を破壊した。サンプルを遠心分離し細胞核成分と細胞質成分を用意した。 昨年度実施した1)核成分を用いたp27Kip1に対する免疫沈降実験、2)細胞質成分を用いたAhRに対する免疫沈降実験を、諸条件を変更しつつ再度行った。特に本年度はp27Kip1に対するこれまでとは異なる抗体を入手し免疫沈降実験を行ったが、p27Kip1およびAhRと相互作用するタンパク質を同定できなかった。原因として、1)抗体の抗原結合能が不十分、2)抗体の抗原認識部位がp27Kip1、AhRとそれぞれ相互作用するタンパク質結合部位と一致している可能性、3)核成分と細胞質成分を分離する際に使用したバッファー組成の問題、などが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
核成分を用いたp27Kip1に対する免疫沈降実験、細胞質成分を用いたAhRに対する免疫沈降実験ともに抗体結合能に問題がある可能性や、至適バッファーの選択が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫沈降実験用のp27Kip1・AhRに対する新しい抗体を購入して免疫沈降の条件をさらに検討し研究を推進する。
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