2010 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いたPelizaeus-Merzbacher病の病態解明研究
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22791002
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
黒岩 佑子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (00571978)
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Keywords | 脳神経疾患 |
Research Abstract |
1.PMD患者(点変異2例、重複型1例)由来のiPS細胞を3ライン樹立した。本年度は加えて1例の患者(PLP1遺伝子の開始コドンに変異をもつ軽症型の表現型)よりiPS細胞を樹立予定である。またすでに複数のコントロールiPS細胞が樹立されており、それらとの比較を行っていく。 2.樹立されたiPS細胞はクローン毎に性質が異なるため、当研究室で確立されている胚様体(以下EB)を介した神経幹細胞への分化誘導法を用いて、EB形成効率やneurosphere形成効率の判定、導入遺伝子の発現量などを参考に樹立した複数のクローンから分化誘導に用いるクローンを選択した。また、iPS細胞についての品質確認(染色体解析など)を行った。 3.ヒトiPS細胞よりオリゴデンドロサイトを誘導する方法は未だ確立されていない。ES細胞を用いて分化誘導の予備実験を行っており、現在oligdendrocyte progenitor clls(以下OPC)までの分化に成功しているが、まだ誘導効率が低いため、23年度も、より効率にOPCを誘導する方法(脱メチル化剤の投与、マウスprimary cellとの共培養など)を探索する予定である。 4.in vitro実験については、正常コントロールと患者細胞の比較について、EB法から誘導したneurosphereに関してRNAレベルでのERstressの評価(BIP,CHOR,XBP1)を行ったが、有意な差を見出すことができなかった。そこで、ERstress検出用プラスミド(XBP1に関連するマーカー)をレンチウイルスにて培養細胞へ導入しERstressを定量的に評価する予定である。in vivo実験では、誘導したneurosphereまたはOPCを、重症免疫不全をきたすNOD/SCID shivererマウスに移植しERstressやオリゴデンドロサイトへの分化効率、髄鞘化効率などについて解析する予定である。
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