2011 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いたPelizaeus-Merzbacher病の病態解明研究
Project/Area Number |
22791002
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
黒岩 佑子 慶應義塾大学, 医学部, 助教(非常勤) (00571978)
|
Keywords | 脳神経疾患 |
Research Abstract |
1.PMD患者(点変異2例、重複型1例)由来のiPS細胞を3ライン樹立。 2.樹立されたiPS細胞はクローン毎に性質が異なるため、当研究室で確立されている胚様体(以下EB)を介した神経幹細胞への分化誘導法を用いてくEB形成効率やneurosphere形成効率の判定、導入遺伝子の発現量などを参考に樹立した複数のクローンから分化誘導に用いるクローンを選択した。また、iPS細胞についての品質確認(染色体解析など)を行った。これら1と2に関しては前年度までに実施できた。 3.Pelizaeus-Merzbacher病は、先天性白質形成不全をきたす疾患であり、オリゴデンドロサイト・髄鞘に異常を認めることが特徴である。つまり解析のためにはiPS細胞からオリゴデンドロサイトへの分化誘導がカギとなる。ヒトES細胞からのオリゴデンドロサイトの報告はこれまでにあるものの、同じES細胞でもラインが異なるとオリゴデンドロサイトへの分化はみられない。同様に、iPS細胞でもそれぞれのクローンにより分化指向性が異なるため、どのラインでもある一定以上のオリゴデンドロサイトを分化させる誘導系の確立が必要であった。初年度よりオリゴデンドロサイトへの分化誘導に関する予備実験は複数行ってきたが分化誘導には成功していなかった。本年度は、さらに各種培養条件の検討を重ねた結果、分化指向性に関わらず一定の数のオリゴデンドロサイトの誘導に成功した。この成果は、本研究、さらにはその他の髄鞘研究などを行う際にも大変意義のあることであり、ブレークスルーといえる内容である。現在、コントロール細胞と患者細胞にて、オリゴデンドロサイトの分化を行い、変異タンパクの局在変化の有無や、ERストレスの有無などに関して検討中であり、詳細には記載しないが、徐々に表現型が出始めている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分化誘導の開発に時間を要したため、最終年度ではあるが実際の解析結果が少ないため(3)と判断した。しかし、解析に用いる細胞を誘導できたため、今後の計画はおおむね順調に進むことが予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
分化誘導した細胞を用いてIn vitroでの解析を主に進める予定である。当初予定していたIn Vivoでの解析に関しては、今後の経過から必要と判断されれば着手する予定である。
|