2012 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いたPelizaeus-Merzbacher病の病態解明研究
Project/Area Number |
22791002
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
沼澤 佑子 慶應義塾大学, 医学部, その他 (00571978)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 疾患iPS細胞 / 先天性脱髄形成不全 |
Research Abstract |
1.PMD患者(点変異2例)由来のiPS細胞を樹立。樹立されたiPS細胞はクローン毎に性質が異なるため、胚様体形成効率・neurosphere形成効率・導入遺伝子の発現量などを参考に分化誘導に用いるクローンを選択した。選択したクローンは品質確認(未分化マーカーの発現、テラトーマ形成能、染色体検査など)を実施した。 2.Pelizaeus-Merzbacher病(PMD)は、先天性白質形成不全のひとつであり、オリゴデンドロサイト・髄鞘に異常を認めることが特徴である。病態解析にはiPS細胞から疾患感受性細胞すなわちオリゴデンドロサイトへの分化誘導を要する。過去にヒトES細胞からのオリゴデンドロサイト誘導の報告はあるものの、誘導に長期間を有し手技が煩雑であることから必要十分量の細胞を得ることが困難であった。そこで当研究室で確立されていた神経幹細胞誘導法を用いて各種培養条件の検討を重ねた結果、解析可能なオリゴデンドロサイトの誘導に成功した。また誘導したオリゴデンドロサイトはvitroで髄鞘を形成することのできる機能的な細胞であった。コントロールと比しPMDではオリゴデンドロサイトへの分化効率に差は認めなかったが、PLP1タンパクの局在変化、アポトーシス細胞の増加、ERストレスマーカーの上昇を認めた。また、電子顕微鏡解析より、髄鞘形成効率の低下、ミエリンラメラの数の減少が認められた。この研究により、ヒトの細胞で初めてPMDの病態の一部(オリゴデンドロサイトへ一旦分化するもののERストレスに惹起されるアポトーシスにより髄鞘形成不全へ至)を示すことができた。今回の解析法は先天性髄鞘形成不全のモデルとなりうることを示したと同時に、改善を要する点はあるものの、将来的には疾患感受性細胞の表現型を軽減するような薬剤探索のための手技となりうることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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