2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791056
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
常深 祐一郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00361478)
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Keywords | ケモカイン / CCL17 / 腫瘍免疫 / 制御性T細胞 / 皮下注射 / 静脈注射 / 表皮 / CCR4 |
Research Abstract |
表皮で産生されたCCL17の皮膚免疫への関与の検討を継続し、対象として腫瘍免疫を取り上げた。CCL17の受容体であるCCR4は制御性T細胞に発現しており、CCL17は腫瘍免疫を抑制する可能性がある。表皮でCCL17を強発現するCCL17-Tgマウスならびにnon-Tgマウスの腹部皮膚にB16F1メラノーマ細胞を皮下注射したところ、Tgマウスでは有意に大きな結節を形成した。一方マウスの尾静脈から同メラノーマ細胞を注射して肺転移巣を形成させたが両マウスで差がなかった。またマウスpre-B細胞のcell lineであるL1.2細胞と同細胞にCCR4を強発現させたCCR4-L1.2細胞を皮下注射したところ、いずれの細胞も結節を形成し、その体積はTgマウスで有意に大きかった。しかしL1.2細胞とCCR4-L1.2では差がなかった。よって表皮よりのCCL17によって皮膚での腫瘍細胞の増殖や生存が腫瘍細胞の種類によらず増加すること、CCL17は腫瘍細胞そのものに作用しているのではなく腫瘍免疫を抑制している可能性があること、皮膚で産生されたCCL17は他臓器の腫瘍免疫には影響を及ぼさない可能性が示唆された。CCL17が腫瘍免疫を抑制する機序を検討するためにB16F1メラノーマ細胞が形成した皮膚腫瘍結節を切除し、免疫染色やflow cytometryにて浸潤細胞のCD4,CD25,FOXP3の発現を、real time PCRにてFOXP3や各種サイトカインの発現を比較したが、両マウスで有意な差はみられなかった。現段階では機序が不明であるものの表皮で産生されたCCL17が皮膚における腫瘍免疫を抑制している可能性を示したことには意義がある。CCL17やその受容体であるCCR4の阻害薬が日光角化症などの皮膚腫瘍の治療薬に結びつく可能性がある。今後はCCL17が腫瘍免疫に影響を及ぼす機序をCTL-assayなど多角的に検討する予定である。
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Research Products
(2 results)