2011 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害の特性分布の掌握と多特性複合の客観的指標の開発
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22791122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船曳 康子 京都大学, 医学研究科, 助教 (80378744)
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / 特性 / ADHD / アスペルガー |
Research Abstract |
当該年度は本研究の2年目である。当科および関連機関への相談者を対象とし、特性の解析、診断名との関連の検証を行った。知的障害のある自閉性障害23名、知的障害のない自閉性障害21名、アスペルガー障害57名、特定不能型広汎性発達障害(PDDNOS)98名、混合型ADHD13名、不注意優勢型ADHD21名の6群に分類した。6群での群間差を認めない特性は睡眠リズムのみで、他の特性についてp<0.05を有意とし、群別にみていく。Autism2群間では、有意差のある特性はみられず、知的障害のない自閉性障害群と細perger群の差は言語発達のみであった。Asperger群とPDDNOS群の差は、コミュニケーション、社会適応、共感性、こだわり、常同運動の5つであり、PDDの診断基準の中核をなすものであった。PDDNOS群と不注意優勢型ADHDの特性分布は、PDDの要素が診断閾値を超えるかどうかのみであった。ADHD2群の差は、多動(p<0.05)、衝動性(0.05<p<0.1)のみであった。 なお、言語発達に関するデータも本年度分も合わせて解析し直した。初語、2語文が出た月齢及びその間隔を初診時に母子手帳等により調査した。自閉症群55例(発語あり);初語23.4±10.0ヶ月、2語文41.1±13.9ヶ月、アスペルガー障害群54例;初語15.0±3.4ヶ月、2語文26.1±6.9ヶ月、PDDNOS群108例;初語16.8±6.4ヶ月、2語文25.9±6.5ヶ月、ADHD群27例;初語13.6±4.6ヶ月、2語文22.4±5.3ヶ月。初語と2語文の間隔は知的障害のある群以外は定型群と変わらなかった。初語の月齢と2語文までの間隔には相関が見られなかった。これらにより、アスペルガー障害群、PDDNOS群は幼少期の出だしは数ヶ月遅めで、この2群間で言語発達に差は見られず、ADHD群は定型発達群と同程度のようである。なお、初語が出れば大体1年弱で2語文が出るようであり、初語が早いほどその後の言語発達が加速するわけではないことが伺えた。 以上のように、簡便な評価法にて診断の定義以外の特徴を見出し、引き続き、診断基準以外の特性も評価していくことの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害の類型を包括的に見ていくことを目的にしている本研究において、まず、包括基準について診断名別に解析結果を出した。個別の特性については、個別検査にて、データを収集している。4年計画の2年目であり、進行状況としては、おおむね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
個別の特性別に既存のスケールにて得られたデータを、まとめて解析し、包括スケールとの整合性を図る。
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Research Products
(16 results)