2010 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲン受容体イメージング薬剤の簡便合成法の確立ならびに薬物動態の解明
Project/Area Number |
22791182
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
森 哲也 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 助教 (40397287)
|
Keywords | 薬学 / 前立腺がん / PET / 画像診断 |
Research Abstract |
フッ素-18標識フルオロジヒドロテストステロン(16β-[^<18>F]fluoro-5α-dihydrotestosterone、FDHT)は、ポジトロン断層撮影(PET)用アンドロゲン受容体イメージング薬剤として前立腺ガンの診断等に有用性が期待されている。しかし、既報の合成法では難易度が高いため、高度な専門技能を有する施設でしか利用することができない。本研究では、臨床使用されている市販カセット型PET薬剤自動合成装置を用いて、この装置に適用可能な温和な条件下でのFDHT合成を試みた。合成は、フッ素18を用いた標識反応および還元反応、加水分解反応の順で行った。出発原料である16α-[[(Trifluoromethyl) sulfonyl]oxy]-3,3-(ethylenedioxy) anhydrostan-17-oneを無水アセトニトリルに溶解し、これを相関移動触媒のKryptofix2.2.2存在下、サイクロトロンで製造した^<18>Fイオンと125℃10分間、標識反応を行った。次いで、反応容器に水素化ホウ素ナトリウム/エタノール溶液を加え室温で5分間17位のケトン基を特異的に還元させた。塩酸による加水分解反応では、0.1mol/ml溶液で85℃15分間反応させて目的物を得ることに成功した。その後の高速液体クロマトグラフ法(HPLC)による分離精製では、16β体のみを分離する条件を決定し、より高品質な薬剤として製することに成功した。合成収率は134%(減衰補正後)で、目標値であった収率10%を上回ることができた。製造時間は^<18>Fの1半減期以内である100分であった。 本研究により、特定のPET施設でしか利用できなかったFDHT製造がカセット型PET薬剤自動合成装置で可能となり、アンドロゲン受容体を介した病態の診断・解明に大いに貢献できると考えられる。
|