2010 Fiscal Year Annual Research Report
Olig-1,Olig-2遺伝子導入による悪性グリオーマ治療の試み
Project/Area Number |
22791344
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水川 克 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80403260)
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Keywords | グリオーマ |
Research Abstract |
グリオーマはグリア細胞由来の原発性脳腫瘍で、原発性脳腫瘍の約1/4を占める。Olig2は神経幹細胞等に発現し、これらの細胞の細胞周期を調節していることが最近の報告でわかってきた。また、オリゴデンドログリオーマはグリオーマの中でも比較的予後が良好であり、Olig-1,2を発現することが特徴的である。 申請者は、グリオーマにおけるOlig-1,2転写因子の発現状態を長年解析してきた。申請者はアストロサイトーマにおけるOlig2の発現量と予後との関係についてretrospectiveに検討したところ、退形成アストロサイトーマにおいてはOlig2発現細胞が多い方が有意に予後が良好であることが分かった。 そして、臨床的な研究より、オリゴデンドログリオーマはアストロサイトーマに比べ非常に予後が良好であること、Olig2高発現アストロサイトーマがOlig2低発現アストロサイトーマに比較し予後良好であったこと、予後不良なグリオブラストーマではOlig2発現細胞が非常に少なく、Olig-2の発現と悪性度、予後との関連が示唆された。 近年、グリオーマ培養細胞にOlig2を発現させると細胞増殖が抑制され、これはOlig2が細胞周期抑制因子であるp27Kip1の転写を亢進するためであることが報告された。我々も同様にOlig-2の遺伝子をグリオーマ細胞に導入し、細胞の増殖が低下することを確認した。今後、Olig-1,2の遺伝子導入によるグリオーマ細胞のアポトーシス誘導や、薬剤耐性能などについて解析する予定である。
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Research Products
(1 results)