2011 Fiscal Year Annual Research Report
Olig-1,Olig-2遺伝子導入による悪性グリオーマ治療の試み
Project/Area Number |
22791344
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水川 克 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80403260)
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Keywords | グリオーマ |
Research Abstract |
グリオーマはグリア細胞由来の原発性脳腫瘍で、原発性脳腫瘍の約1/4を占める。Olig2は神経幹細胞等に発現し、これらの細胞の細胞周期を調節していることが最近の報告でわかってきた。オリゴデンドログリオーマはグリオーマの中でも比較的予後が良好なグリオーマであり、Olig-2を高発現する。しかし、Olig2はアストロサイトーマにも発現することが報告されているがオリゴデンドログリオーマに比較すると発現量は低い。Olig2の機能はまだ十分解析されてはおらず、グリオーマでの発現と予後との関連も十分解析されてはいないため、グリオブラストーマ(GBM)および退形成アストロサイトーマ(AA)でのOlig2発現と予後について検討した。神戸大学、兵庫県立癌センターでGBMあるいはAAと診断・治療され、追跡可能であった患者を対象とし、腫瘍組織でのOlig2の発現を抗Olig2抗体(IBL社)を用いて免疫染色を行い、発現細胞率を計測した。対象は最終的にGBM:36例、AA:69例であり、Olig2陽性細胞率はGBM:16.0%(0~64.7%)、AA:45.11%(0.1~89%)であり、AAでは陽性細胞率が高かった。また、GBMではOlig2の発現が高い腫瘍でも低い腫瘍でも予後の差をあまり認めなかったが、AAではOlig2発現細胞率が40%以上(n=27)と40%未満(n=42)で分けると、生存期間中央値は40%以上の群で98.6ヶ月、40%以下の群で30.6ヶ月であり、2年生存率は40%以上の群で61%、40%以下の群で31%であり、有意に生存期間の延長を認めた。以上より、症例ごとに治療法などが異なり断定的なことは言えないが、AAではOlig2発現細胞が多い方が予後良好である傾向があり、グリオーマにおいてOlig2を多く発現させることで、オリゴデンドログリオーマのように腫瘍の悪性度が低下して長期生存できる可能性があることが示唆された。
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Research Products
(2 results)