2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎に伴う難治性疼痛に対する新規治療ターゲットの研究
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22791421
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大石 美緒子 富山大学, 病院, 助教 (10536733)
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Keywords | 急性膵炎 / 難治性疼痛 / caerulein |
Research Abstract |
我々は既に、caerulein腹腔内繰返し投与による、膵臓の組織学的変化ならびに血中の膵酵素上昇を確認している。そこで、caerulein投与による膵臓での炎症性変化をより詳細に評価する目的で、膵組織で各種m-RNA発現レベルの変化を検討した。その結果、caerulein群において炎症性サイトカインIL-1β,炎症性ケモカインMCP-1,MCP-3のm-RNA発現量の有意な増加を認めた。膵における炎症を分子レベルで示したことにより、caerulein処置によるこのモデルを急性膵炎モデルとして確立した。 次に、このモデルが急性膵炎の疼痛(内臓痛と関連痛)を再現しているか否かを検討した。内臓痛は、膵臓内に挿入したバルーンの伸展刺激に対する反応性により評価した。その結果、caerulein群では対照群と比較してより低容量のバルーン伸展刺激たより疼痛行動が確認された。また関連痛は、上腹部皮膚のvon Frey filamentによる触刺激および熱刺激への反応性により評価した。その結果、caerulein群では、通常は痛み刺激とならない軽度の触刺激ならびに熱刺激による疼痛行動が観察された。内臓痛・関連痛ともに、caerulein群と対照群間で有意差を認め、caeruline投与による急性膵炎モデルを、急性膵炎の疼痛面を再現した疼痛モデルとして確立することが出来た。 さらに、胸髄における各種m-RNA発現レベルの変化を検討した。その結果、炎症性サイトカイン・ケモカインに関してIL-1β,MCP-1,MCP-2の発現には変化を認めなかった。一方、cox関連因子について検討を行ったところ、cox-1の発現には変化を認めなかったものの、caerulein群においてcox-2,EP2R m-RNA発現レベルの有意な増加を認めた。
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