2011 Fiscal Year Annual Research Report
急性膵炎に伴う難治性疼痛に対する新規治療ターゲットの研究
Project/Area Number |
22791421
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
大石 美緒子 富山大学, 大学病院, 助教 (10536733)
|
Keywords | 急性膵炎 / 難治性疼痛 / caerulein |
Research Abstract |
昨年度C57/6J系雄性マウスを使用し、caeruleinを腹腔内に過剰投与することにより、膵での炎症をきたすことを分子レベルで確認し、内臓痛および関連痛を再現していることも明らかにした。またcaerulein投与により、胸髄(中枢神経)においてcox-2m-RNAの発現が増加することを明らかにした。 今年度は、このcox-2を選択的に阻害するcelecoxib投与による疼痛の変化を検討した。その結果、celecoxibを髄腔内投与は、用量依存性にcaeruleinにより誘発される関連痛を抑制した。 また、本モデルにおいて、脊髄後根神経節(末梢神経)における研究を行った。強力な発痛物質であるブラジキニン(BK)受容体の発現について検討した結果、本モデルの脊髄後根神経節において、誘導型であるB1受容体と常在型であるB2受容体mRNA発現の著明な増加を認めた。またBKにより活性化することが知られているTRPV1に関して検討を行ったところ、TRPV1拮抗薬であるBCTC投与によりcaerulein投与に伴う内臓痛ならびに関連痛は抑制された。さらにwhole-cell patch clamp法に従い検討したところ、本モデルの脊髄後根神経節神経細胞において認められる活動電位発生頻度の増加および活動電位発生閾値の低下は、BCTC投与により抑制されることを明らかにした。これらより、BK-TRPV1経路が本モデルでの痛みに関与する可能性が示唆された。 以上の結果より、末梢知覚神経系におけるBKやTRPV1、ならびに中枢神経系におけるcox-2がcaerulein誘発急性膵炎モデルにおける疼痛に関与する可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)