2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たな神経障害性疼痛治療指針作成へ向けての基礎的研究
Project/Area Number |
22791443
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮崎 里佳 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10349011)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 麻薬系鎮痛薬 / プレガバリン / デュロキセチン / アロディニア / 動物実験モデル |
Research Abstract |
神経障害性疼痛は、最近多くの」ガイドラインが報告されてきているが、未だに十分な治療効果が得られているとはいえない難治性の疾患であり、より実践的な治療ガイドラインの開発が待たれている。本研究では、動物実験モデルとして、Dorsiらが2008年に報告したTibial Neuroma Transposition (TNT)モデルを用いる(Pain 134(2008)320-334)。本モデルにて、同一個体で断端痛とアロディニアに対する薬物の効果を同時に検討することが出来る。薬物は、多くのガイドラインで第1選択薬・第2選択薬にあげられているプレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチン、トラマドール、モルヒネを用いた。投与経路としては、実際の臨床を考え、経口投与とした。モルヒネ、トラマドールは、アロディニアと断端痛の両者に対して有効であった。一方プレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチンはアロディニアに対しては有効であったが、断端痛には無効であった。また、プレガバリン+モルヒネの併用、デュロキセチン+モルヒネの併用、プレガバリン+デュロキセチンの併用によりアロディニアに対しては強い相乗効果が得られるが、断端痛には併用が無効であることを確認した。以上より、薬物による効果の違いが存在することが明らかになった。また併用は、単剤使用で有効な痛み(アロディニア)に対しては有効であるが、単剤で無効な痛み(断端痛)に対しては無効であることが明らかとなった。これらの知見は、今後の新たなガイドライン作成に向けて有用な基礎的知見を提供するものである。
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