2011 Fiscal Year Annual Research Report
ICG蛍光リンパ管造影法を用いたリンパ浮腫の超早期診断と早期治療、及び病態解明
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22791717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 梓 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (10572331)
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Keywords | 下肢リンパ浮腫 / 早期診断 / 早期治療 / 予防リンパ肝静脈吻合術 / リンパ節廓清 / ICG |
Research Abstract |
リンパ浮腫はリンパ液が何らかの理由によって皮下組織に貯留する結果生じる疾患であり、不治の病として患者のQOLを著しく阻害し、時には生命を奪う恐れのある疾患とされてきた。多くは、悪性腫瘍(子宮癌、乳射線療法)や感染、外傷によるリンパ流の途絶・閉塞により発生する。これまでの問題点として(1)リンパ浮腫の確立された診断法がなく、治療開始時期が明確ではない。診断・治療開始時はすでに進行してしまっていることが多い。(2)リンパ浮腫の確立された治療法がなく、発症後は徐々に増悪し治ることがない。(3)リンパ節廓清はリンパ浮腫発生の高リスクであるが、予防的治療が行われていない。これらの問題解決のための初の試みとして、本研究ではICG蛍光リンパ管造影法を用いて次の課題に取り組んでいる。(1)リンパ浮腫の超早期診断法の確立。(2)リンパ浮腫の早期治療を行い、完治を目指す。(3)リンパ節廓清等による高リスク群と予防的治療の適応評価。本研究では、ICG検査を用いたリンパ浮腫早期診断法の確立及び、浮腫発症リスク群を見つけるべく、婦人科との連携を行った。婦人科領域リンパ節郭清患者に対して、術前、術後にICG蛍光リンパ管造影を行い、リンパ流の変化を追った。術直後はほぼ全例で陰部を中心とした軽度から中等度の浮腫を認めたが、ほとんどは2,3ヶ月で改善した。しかし、一部はdermal back flowを呈し、リンパ浮腫を発症していった。Dermal back flowの最初の兆候は"splash"であった。また、術前のICGにてリンパ流不良なものと良好なものがあった。術前リンパ流不良なものはリンパ節郭清後高率でリンパ浮腫を発症した。従って、術前にリンパ流不良なものは予防的治療の良い適応になると考えられた。また、術後のICG所見において"splash"を認めたものはその後全てリンパ浮腫が進行していった。従って、"splash"はリンパ浮腫の最も早期のICG所見であり、早期診断基準になり得ると考えられた。
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