2011 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺多形性腺腫における低酸素応答性増殖機構:SM-AP細胞系による解析
Project/Area Number |
22791810
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
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Keywords | 唾液腺多形性線種 / 低酸素 / HIF-1α / VEGF / VHL / SM-AP / perlecan / fibronectin |
Research Abstract |
本年度は、以下の実験をおこない本研究課題の実施内容を総括した。 1)ヌードマウス移植腫瘍組織での低酸素分子機構解析 ヒト唾液腺多形性腺腫由来SM-AP1/4およびヒト腺様嚢胞癌由来ACC2/Mを、通常の培養条件(10%FCS/5%CO_2)で培養した後、1.0x10^6個/200μlに調整してヌードマウス背部皮下移植腫瘍を形成させ、腫瘤内の酸素分圧を生物組織内酸素分圧連続測定装置にて測定した。その結果、SM-AP1移植腫瘍内酸素分圧は周囲皮下組織に比して有意に低いことが確認され、SM-AP1移植腫瘍の方がACC2/M移植腫瘍より低酸素であることが判明した。移植腫瘍組織より切片を作製し免疫組織化学的に検討した結果、腫瘍組織内にhypoxia-inducible factor-1α (HIF-1α)およびVEGFが発現していた。 2)ヒト唾液腺多形性腺腫組織での低酸素分子機構解析 ヒト多形性腺腫組織手術材料からも切片を作製し、免疫組織化学的にHIF-1αおよびVEGFの発現パタンを確認したところ、ヌードマウス移植腫瘍組織同様に腫瘍組織内に発現がみとめられた。HIF-1α陽性細胞周囲には、perlecanおよびfibronectinの細胞外基質沈着がみられた。 3)実験結果の評価と研究の総括 これまでの実験結果より以下のように結論した。 (a)多形性腺腫由来細胞では、低酸素下でのHIF-1α蛋白質の高発現およびVHL遺伝子・蛋白質の低発現によりHIF-1αの分解抑制機構がはたらいている。 (b)低酸素状態で核移行したHIF-1αによりVEGFの高発現レベルを維持される。 (c)試験管内でえられた以上の結果は、ヌードマウス移植腫瘍組織・ヒト多形性腺腫組織手術材料の生体組織でも追認された。 (d)以上の機序によって低酸素環境で増殖さらには転移形質が誘導されている可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)