2010 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム表面修飾による高強度セラミックスへの骨伝導性付与
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22791894
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
TARIQUE A.A. 九州大学, 大学院・歯学研究院, 学術研究員 (00568983)
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Keywords | セラミックス / 表面改質 / 骨伝導性 |
Research Abstract |
本研究は高強度セラミックスの表面に原子分子~ナノオーダーレベルでCaを修飾することにより骨伝導性を付与することを目的としています。本年度は,水熱処理法を用いたアルミナおよびジルコニア表面のCaの固定化について検討を致しました。処理に用いるカルシウム塩水溶液の種類やpH,濃度,処理時間等を変動因子として,材料表面に効果的にCaを固定化させるための水熱処理条件の最適化を行いました。 処理温度を高くすれば反応速度が高まりCa修飾量が増すと予想されましたが,実際には水熱環境で表面腐食反応が同時に進行するため,これが原因して処理温度とCa表面修飾量に相関性が得られないことが判明しました。鋭意検討した結果、アルミナについては125℃で7日間水熱処理を施した試料表面に最も多くのCaが固定化されることが分かりました。同処理をジルコニアに適用したところ,低温や短時間処理において構造変化はみられなかったものの,処理時間が長くなると正方晶から単斜晶への相転移が観察され強度が低下しました。 擬似体液を用いてCaを固定化したアルミナ試料のin vitro骨伝導性を評価したところ,Caの固定量とアパタイトの自発析出量との間に相関性が見られました。ラット骨髄細胞を用いて初期細胞接着性,細胞の接着形態および細胞増殖挙動に関して評価したところ,処理群は未処理群と比較して有意に高い値を示しました。 本処理はジルコニアの表面処理としては引き続き検討の余地があるものの,アルミナに対しては力学的強さに影響を及ぼさないことから,アルミナ表面に骨伝導性を付与するための一手法として有望であると結論付けました。
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