2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム表面修飾による高強度セラミックスへの骨伝導性付与
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22791894
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
TARIQUE A.A. 九州大学, 大学院・歯学研究院, 学術研究員 (00568983)
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Keywords | セラミックス / 表面改質 / 骨伝導性 |
Research Abstract |
本研究は高強度セラミックスの表面に原子分子~ナノオーダーレベルでCaを修飾することにより骨伝導性を付与することを目的としています。本年度は,Caイオンを含む溶存オゾン水を用いてアルミナおよびジルコニア表面に水酸基を形成させ,これを介してCaを表面修飾させる新たな手法に取り組みました。 オゾン濃度を一定(約15ppm)にして,処理に用いるカルシウム塩水溶液の種類やpH,濃度,処理時間等を変動因子として,Caの固定化に有効な処理条件を調査しました。その結果,アルミナについてはCaを固定化させる条件が見出せませんでしたが,ジルコニアについては処理条件によって表面にCaが固定化されることが分かりました。この両者の基板におけるCa表面修飾の違いは表面水酸基の電荷が影響していると考察されました。Ca修飾したジルコニアについて正方晶から単斜晶への相転移が観察されなかったものの,オゾン処理後に結晶形態が変化する様子が観察され,低温劣化の可能性が示唆されました。 前年度と本年度の結果を踏まえて,アルミナへの水熱処理の適用が最も効果的に基板表面にCaを修飾させる方法であると結論付けられたため,この処理によってCa表面修飾したアルミナ基板を用いて,ラット骨髄細胞の応答性を詳細に検討致しました。その結果,細胞-材料間接着構造形成(アクチン,ビィンキュリン),細胞の分化挙動(ALP活性,オステオカルシン),石灰化基質生成量(Bone nodule)に関して,処理群は未処理群と比較して有意に高い値を示すことが分かりました。 本研究で見出された125゜Cで7日間水熱処理を施したアルミナは骨組織と直接結合することが期待されるような臨床用途への応用が期待されます。
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