2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞成長因子とTCP基材の積層応用によるバイオミメティック歯周組織再生療法の開発
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22791931
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
白方 良典 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60359982)
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Keywords | 歯周組織再生療法 / 細胞成長因子 / EMD / bFGF / リン酸三カルシウム / CMキチン / 1壁性骨欠損 |
Research Abstract |
リン酸三カルシウム(TCP:TCP顆粒)を基材としてエナメルマトリックス蛋白(EMD)と塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)各々、およびこれらを併用してイヌ1壁性骨欠損に局所応用した。8週後の新生骨形成量についてはTCP群、TCP+EMD群、TCP+bFGF群およびTCP+EMD+bFGF群の全群で有意差は認められなかった。TCP+EMD+bFGF群では新生セメント質形成量がTCP群およびTCP+bFGF群より有意に多く、また有意差は認められなかったがTCP+EMD群と比較しても多かった。これらのことからTCPを基材としたEMDおよびbFGFの併用療法はセメント質形成に有効であることが示唆された。さらにTCP基材として顆粒は、充填量の規定が困難なこと、術野からの漏出および吸収速度のコントロール等の点で問題を有することから、TCPと高い生体親和性、良好な生体分解性を有するカルボキシメチルキチン(CMキチシ)の複合体TCP/CMキチンスポンジ(TCP/CM)に着目した。ラットの頭蓋骨欠損を外科的に作製し片側にTCP/CM(直径5mm、厚さ1mm)を充填し(実験群)、対側は未処置(対照群)とした。12週において欠損領域に対する新生骨の閉鎖率は対照群では43.2%であったのに対して、実験群では84.6%と有意に高い値を示した。さらに残存TCP/CMは経時的に減少しており、12週において残存ss-TCP粒子は完全に新生骨に被包化されていた。以上のことより、TCP/CMは良好な骨伝導性と生体吸収性を併せ持つことにより理想的な物性を有するスキャフォールド(足場材)であることが示唆された。上記の結果に基づき、TCP基材としてTCP/CMを用い、イヌ1壁性骨欠損においてEMDおよびbFGFの併用移植を行い同様に8週観察を行った。本研究結果については現在解析中である。
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