2012 Fiscal Year Annual Research Report
難治性口内炎に対するメラトニンを用いた戦略的治療法の開発
Project/Area Number |
22791984
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
工藤 景子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70380029)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | メラトニン / 口内炎 / 口腔がん |
Research Abstract |
<研究目的>本研究では、口腔がんの化学療法ならびに放射線療法に伴って生じる難治性口内炎に対するメラトニンの有効性を検討することを目的とする。すなわち、メラトニンの口内炎に対する予防薬、進行抑制薬または治療薬としての可能性を解明し、戦略的治療法を開発する。さらに、がん治療に伴う口内炎に対するメラトニンの治療および発症抑制機序を解明することにより、がん治療時の副作用軽減の一助となることを目指す。 (1)正常細胞に対する放射線の影響についての検討、放射線により影響を受けた正常細胞に対するメラトニンの影響の検討:正常細胞は、初年度に培養した細胞の継続した培養が困難だったため、市販のヒト線維芽細胞(皮膚由来)を購入し、研究を施行した。セミコンフルエントに達した細胞に放射線照射を行った。0、6、12、24、48時間後に細胞増殖に対する影響を評価したところ、6時間~48時間全ての時期において、対照群(放射線照射なし)と比較して細胞の増殖抑制が認められた。この増殖抑制を受けた細胞に対して、各種濃度のメラトニン(0、1、10、100μM)を添加した培地で培養し、その増殖能の変化をMTTアッセイにて評価したところ、100μMで軽度の増殖回復が認められた(有意差はなし)。 (2)ハムスターを用いた口内炎病態モデルの作製:ゴールデンシリアンハムスター(6週齢、雄性)を用いた。5-FU投与後にミニワイヤーブラシにて左側頬粘膜を機械的に刺激したところ、約5~7mm大の潰瘍を伴う口内炎を形成した。同部の組織を採取し、ホモジナイズをしたものからタンパクを抽出し、メラトニン1aレセプターに対する抗体でウエスタンブロットを行ったところ、約43kDaのバンドを検出することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常細胞は初年度に初代培養した口腔粘膜上皮細胞・線維芽細胞の3~4代以上の継代が困難だったため、細胞を市販のヒト正常線維芽細胞(皮膚由来)へ変更したため、当初の計画とは少し異なっている。 ただし、ハムスター頬粘膜での口内炎作製はほぼ順調に進んでいるため、最終年度の研究へ向けて準備はできたため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
口内炎ハムスターに対して、メラトニンを投与(局所塗布・腹腔内投与)を行い、その変化を確認する予定。
|