2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗炎症作用を有する薬剤が脂肪細胞・マクロファージ共培養系へ及ぼす影響の網羅的解析
Project/Area Number |
22792086
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山下 明子 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70511319)
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Keywords | 抗炎症作用 / 脂肪細胞 / マクロファージ / フラボノイド |
Research Abstract |
本研究は,申請者が継続的に検討を続けてきた歯周病感染を想定した低濃度LPS感染よるマクロファージ-脂肪細胞相互作用に伴う過剰炎症反応を,抗炎症作用を有する薬剤が抑制し,結果として血管病変やインスリン抵抗性が改善するとの仮説を設け検証しようとするものである。本年度は,歯周病などの局所の炎症が全身に影響を及ぼすほどに増幅される機序をふまえ,その機序に基づいてスタチンや抗炎症作用を有することで近年注目を集めるフラボノイドを用いる際の有効性を機序の面から明らかにすることを目的とし,以下のとおり研究を実施した。 1.脂肪細胞とマクロファージの共培養を行った。 2.1.の系にLPS刺激下でスタチンまたは数種類のフラボノイドを投与し,IL-6タンパク産生量を測定した。IL-6タンパク産生量への影響は,スタチン投与では有意な抑制はみなかったが,フラボノイド投与では有意な抑制があった。なかでもエピカテキン投与による抑制量が大きかったため,以降の研究において抗炎症作用を有する薬剤として,エピカテキンを使用した。 3.LPS刺激下でエピカテキン作用有り,無しのマイクロアレイ解析:数時間ごとのタイムコースを設定し,共培養した脂肪細胞のmRNAを回収し,マイクロアレイ法を用いて遺伝子発現を解析した。 4.上記3.のエピカテキン作用有り,無しの結果を比較した。産生性に著明な変化の遺伝子をピックアップしたところ,IL-6をはじめとする各種炎症性サイトカインの産生が有意に抑制されることが示唆された。また,パスウェイ解析の結果からエピカテキンが脂肪細胞における炎症,酸化ストレス系の反応を軽減する事が示唆された。
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