2010 Fiscal Year Annual Research Report
ビスホスホネート系薬剤関連顎骨壊死の発症予測マーカーの検索
Project/Area Number |
22792090
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
美原 智恵 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70403748)
|
Keywords | 歯学 / ビスホスホネート / 顎骨壊死 |
Research Abstract |
骨粗鬆症や癌の骨転移予防薬として用いられているビスホスホネート系薬剤(BP)は、その有用性から今後ますます使用頻度の増加が予想される。しかし近年、BP関連顎骨壊死(BRONJ)が問題となっている。BRONJとは疼痛、感染、長期に渡る骨露出を伴い、BP服用患者では歯周外科治療や抜歯によりBRONJを発症させるリスクが増加すると言われ、BP服用が必要な患者は事前に歯科検診を受け、外科処置を修了しておくことが推奨される。しかし実際はBP服用患者でも外科処置が必要な症例に多く遭遇する。このような場合、エビデンスも乏しいまま必要薬剤の休薬を行ったり外科治療を必要以上に避ける傾向がある。これはBRONJがごく最近認識された病態であり、発症機構にいまだ不明な点が多い事が原因にあると考えられ、早急な解明が必要とされる。 そこで、BRONJモデルラットを用い、その発症過程における形態学的解析および血液生化学的解析を経時的に行い、BRONJの発症予測マーカーを解明することを目的とし、以下の実験を行った。すなわちラットにデキサメタゾン(DX)とゾレドロネート(ZA)を皮下投与した後、右側上顎臼歯を抜去し、14日間飼育した。BRONJを発症するZA/DX群と発症しない対照群、ZA群、DX群の抜歯後3および14日目のラットから上顎骨および血液を採取した。抜歯窩の観察を行った結果、抜歯後14日目で対照群は治癒していたのに対し、ZA群、DX群、ZA/DX群において治癒の遅延が認められた。マイクロCTで撮影した結果、対照群で著しい骨吸収が認められたのに対し、ZA、DXおよびZA/DX群では骨吸収が抑えられていた。現在、抜歯窩における新生骨の割合を解析中である。また、早急に血中エンドスタチン(血管新生抑制因子)およびVEGF(血管内皮細胞増殖因子)濃度を測定する予定。この結果次第で将来的にマーカー値の検査によりBRONJの発症リスクが予測可能となり臨床に貢献するところ大と考える。
|