2014 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤を含む注射薬剤の皮膚傷害に対するケアの効果に関する基礎的研究
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22792152
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
三浦 奈都子(小山奈都子) 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (40347191)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 薬剤の血管外漏出性皮膚傷害 / 罨法 / ステロイド塗布 / 看護技術 / 点滴漏れ / 静脈内注射 |
Outline of Annual Research Achievements |
静脈注射を実施する際に起こり得る薬剤の血管外漏出による皮膚傷害に対するケアを確立することを本研究の目的とした.今年度は,血管外漏出時に皮膚石灰沈着症,さらには壊死に陥るような重篤な傷害を引き起こすことがあるグルコン酸カルシウムについて検討した.昨年度まで結果から他の薬剤の血管外漏出では,冷罨法の有用性が明らかになりつつあるが,グルコン酸カルシウムの血管外漏出に対するケアについては医師による症例報告が多く,経過観察とステロイドを用いた治療が行われている. グルコン酸カルシウム漏出性皮膚傷害に対する罨法とステロイド塗布の効果を比較した.6週齢マウスの背部皮膚に薬液を投与後,温罨法(38~40℃),冷罨法(18~20℃)をそれぞれ30分間継続して実施した.ステロイド軟膏は薬液投与部および周辺に塗布した.漏出部の肉眼的観察と写真撮影を行い検討した. 腫脹の最大範囲を病変部として面積を測定した結果,対照群と比較し投与30分後ではステロイド群の面積が有位に大きかった.24時間後ではどの群にも有意差は認められず,48時間後では対照群と比較してステロイド群と冷罨法群の面積が有意に小さかった.72時間後では対照群と比較して冷罨法群の面積が有意に小さかった.肉眼的所見においては,すべてのマウスにおいて投与30分後では白色の変化が見られた.24時間後では白色病変部と発赤部が認められた.ステロイド群は発赤部がみられなかった.冷罨法群では1部発赤が認められているが,温罨法群は発赤部が多かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルコン酸カルシウム漏出性皮膚傷害に対する冷罨法およびステロイド塗布の効果を明らかにすることができた.今後は,抗がん剤漏出時に行われているステロイドの局所注射の効果について検討する予定である.また,引き続きPCRを行い炎症の程度を測定していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
織学的評価およびRT-PCR等を用いた評価を加えていく予定である. また,エビデンスベース看護情報センターにて情報を発信していく.
http://ebn.nurs.iwate-pu.ac.jp/ebn/
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