2011 Fiscal Year Annual Research Report
心不全患者の日常生活における活動と休息のバランスアセスメントシートの作成
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22792190
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Research Institution | University of KinDAI Himeji |
Principal Investigator |
佐佐木 智絵 近大姫路大学, 看護学部, 講師 (20335904)
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Keywords | 慢性心不全 / 活動量 / 休息 / 生活調整 |
Research Abstract |
インタビューと活動量測定結果、活動ノートへの記載内容から、慢性心不全患者の活動と休息のバランスをアセスメントする際のガイドとなる項目の抽出を目指した。退院直後の活動量測定については、付け忘れや再入院などが原因で、十分なデータがそろわなかったため、外来通院中の患者に実施した。 患者は、「目安を決めて休む」、「一日の中でつじつまが合うように休む」、「数日単位でバランスが取れるように休む」、「やってしまってから休み方を決める」、「大丈夫であることを証明するために動く」、「続けてきたことはできるだけ途切れさせない」、「大丈夫であることが感じられたら活動量を増やしてみる」ことで、活動と休息のバランスをとり、心不全を増悪させないようにしていた。休息の取り方において、患者の生活と症状に合わせて1日単位でバランスを取っていたり、先々の予定を見越して数日単位でバランスが取れるようにしたり、あんて負荷のかかる運動をすることで動けることを確認し、心理的な休息を得たりと、患者の背景によって様々であった。また活動することにおいて、患者がどのような社会的背景を持っているのか、症状の程度、生活環境などによって活動の仕方が異なっていた。更に、活動量測定を同時に行いグラフ化した物を提示しながらインタビューを行うことで、意識化していなかった活動を視覚的に認知し「身についている習慣的な動き」を自覚していた。活動については意識化していない活動は多くあったが、休息については「負担になりすぎないように休むタイミングを決める」、「動けるように休んでおく」など、ほとんどが意識化して行っていることが明らかになった。 以上のことから、心不全患者は指導や症状によって活動することを控えたり活動しすぎないように意識しながら動いているが、習慣的に身についており意識しない活動も多い反面、休息については意識して休むことをしており、意識化せずに動いている活動も含めた活動とのバランスを取る必要があることが考えられた。しかし、活動の仕方や休息の取り方は、患者の社会的、疾患的、環境的背景によって多様性があり、さらに事例を積み重ねる必要がある。また、活動量計を用いて視覚的に活動状態を確認することで、患者が意識化せず、習慣的に行っている活動についても把握することができ、患者自身も気づいていなかった活動状況を知ることができた。このことは新たな患者へのアプローチの方法や生活の状況を把握する方法として、今後活用できる可能性がしめされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたデータが十分そろわなかったため、退院前の患者から外来通院中の患者に対象を変更したため、当初の計画より遅くなっている。また、質的分析を行う中で、患者が行っている生活活動の調整方法について十分な現象の把握ができておらず、量的分析に至るまでのステップをより慎重に行う必要性が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、質的分析で得られたバランスの調整を示す内容について量的な検証に入る予定であった。本年度の問題点として、外来通院中の心不全患者に回顧的にインタビューを行うなどの方法変更の必要があったこと、先行文献も含めて十分な現象の検討がなされておらず、質的な研究の蓄積が必要であることが示されたことがあった。そのため本年度も引き続き、外来通院中の心不全患者を対象に、インタビューと活動量測定による調査を行い、心不全患者が日常生活で行っている活動と休息のバランスを取るための行動について対象を広げて調査する。
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Research Products
(1 results)