2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800022
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
稲田 結美 上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 講師 (30585633)
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Keywords | 理科教育学 / 女子 / 学習促進 / 教授方法 / 教材開発 |
Research Abstract |
本研究では、理科学習に対する女子の意識や態度を改善するための指導方法や教材を開発することを目的とした。具体的には、女子の「理科離れ」が顕在化する中学校理科第1分野の物理学関連領域の授業改善を目指した。23年度においては、その中でも女子が最も苦手とする「電流」単元を対象とし、新潟県内の中学校第2学年の2クラスの理科授業において、開発した方策を単元全体に渡り導入し、生徒の認知的・情意的側面の変容を授業への参与観察や質問紙調査、ワークシートの記述内容等から詳細に調査し、女子の理科学習促進の有効性を検証した。 「電流」単元に導入した教授方法・教材は、女子の興味・関心に基づくトピック、創造的・想像的なライティング活動、協同的な問題解決を取り入れた実験の3種類である。これらは女子の理科学習促進に関する研究が進んでいる諸外国において実践された方策と、女子の理科学習に関する日本における先行調査の結果とを勘案して創出した方策である。この3種類の方策を授業に導入する際には、次のアプローチに基づいて具体的な教授内容を選択した。女子は理科の中でも人体の構造や機能に関心が高いことから、それらの内容と物理概念との関連を強調して教授する「人体アプローチ」、女子の身近な経験である調理を物理学習と結びつける「料理アプローチ」、女子は美的な評価を重んじることから、美的要素を観賞できる実験を用いて教授する「美的アプローチ」である。一般的に女子の学習意欲が著しく低下する「電流」単元であるが本実践においては、女子の理科学習に対する意識や態度は低下せず、方策の中でも美的な観賞を取り入れた協同的な問題解決活動の効果が大きく、女子が最も好感を示す方策であったことが明らかとなった。加えて、男子の理科学習に対する意識も向上し、これらの方策が男子の学習を阻害するものではないことも証明できた。
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Research Products
(2 results)