2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22800094
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
伊藤 ゆり 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), がん予防情報センター, 研究員 (60585305)
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Keywords | がん登録 / 治癒モデル / 生存解析 / 治癒率 / がん医療の評価 |
Research Abstract |
がん医療の向上に伴い、がん患者の長期生存が可能となった。従来、がんの治癒の目安として5年生存率が用いられてきたが、がんの部位によっては5年という区切りが適当ではない可能性がある。そこで、本研究では地域がん登録資料に治癒モデルを適用し、がん患者が統計的に「治癒した」割合を推計し、その推移を評価することを目的としている。平成22年度は大阪府がん登録資料を用いて、我が国に多い胃がん、大腸がんを対象に、治癒割合および非治癒患者の生存時間の中央値を推定し、その経年推移により、がん医療の変化を評価した。胃がんでは1970年代後半に診断された患者では治癒割合は約30%と推定されたが、1990年代後半に診断された患者では約50%と推定され、大きく向上した。一方、非治癒患者の生存時間には延長が見られなかった。大腸がんでも治癒割合が約35%から60%と向上したが、非治癒患者の生存時間は約2カ月程度の延長にとどまった。治癒モデルの多変量解析において、年齢及び進行度分布の変化を考慮に入れ、各共変量が治癒割合の推移に与える影響度の大きさを推定した。その際、進行度不明例に対しては多重補完法を適用し、結果の偏りを回避した。胃がんでは治癒割合の向上は早期診断の増加による診断時進行度分布の変化により約20%が説明できると推定された。他の部位のがんについても同様の検討を行う予定である。さらに、治癒割合の向上に伴い、回避することができた死亡者数を推定し、公衆衛生の観点で、わが国におけるがん医療の進歩を定量的に示す評価指標となる数値として提供する予定である。
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Research Products
(16 results)