2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンザニア南東部コミュニティにおける女性世帯主の脆弱性と自在性
Project/Area Number |
22810004
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
阪本 公美子 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60333134)
|
Keywords | アフリカ / ジェンダー / 家族・親族・人口 / 女性世帯主世帯 / 自在性 / 女性 / 母子 / タンザニア |
Research Abstract |
タンザニア南東部の母系的社会における女性世帯主世帯(FHH)の脆弱性と自在性について、その多様性や主体性、食料へのアクセス、収入・送金・養育に焦点を当て研究した。本年度は、タンザニア南東部R村において、(1)FHH数と男性世帯主世帯(MHH)数を調査・集計し、(2)FHH女性とMHH女性の比較のために全5町内会から各20人(FHHIO人、MHHIO人)をサンプルとして総計92名からの聞き取りによる質問票調査を行い、(3)女性たちの視点の把握のため6名(寡婦2名、離婚・未婚各1名、既婚2名)のライフ・ヒストリーの聞き取りを行った。調査の結果、(1)R村全469世帯中、151世帯がFHH、318世帯がMHHであり、市場近くの町内会ではFHHの88世帯中45世帯であり最多であった。(2)女性への質問票調査によると、食料が不足する期間が多く、またその場合、頼る人がいないのは、配偶者と同居していない未婚・離婚・寡婦が多い。配偶者との同居・婚姻などをともなう既婚女性の場合の方が、配偶者が養育費を支払っている場合が多かった。収入は配偶者が同居している場合の方が得ていたが、逆に送金は、配偶者と同居していない場合の方が得ていた。(3)植民地時代に母方居住にて生活した寡婦のライフ・ヒストリーによると、彼女は配偶者候補が婚労働に来て、働きが悪かったため拒否した、という集村化・父方居住化した現在ではみられない経験をしていた。他方、現代の40歳代の離婚・未婚女性はそれぞれの生活で農業や収入確保に創意工夫をしていたが、畑仕事と家事の分業ができないなどの困難もあり、裕福とはいえないが結婚生活に満足をしている夫婦世帯と対照的だった。上記のとおりR村におけるFHHの実態を、村の全容、夫婦世帯との比較、女性たちの立場から明らかにした。
|
Research Products
(6 results)