2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22820072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩田 和子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (90581819)
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Keywords | 説唱 / 清末民初 / 湖南説唱本 / 出版文化 / 中国文学 / 中国伝統演劇・芸能 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで余り知られていなかった、清末民国初期に湖南省の各地に林立した書肆において大量に出版された説唱本(所謂「湖南説唱本」)に焦点を当て、中国国内外の各地に所蔵される各種版本の収集と書誌整理の作業を通して考察を行い、それらが明清から民国期に亘る中国伝統演劇、芸能の流通における役割、また全国的な説唱本の流通から見た湖南説唱本の位置、および湖南の出版文化とその地域文化的意義を解明することにある。 研究の第一条件である各種物語に対する網羅的な版本収集、綿密な書誌整理の積み重ねを遂行するため、国内は早稲田大学中央図書館、同演劇博物館、大木康氏所蔵の資料、国外は上海図書館(上海)、復旦大学古籍所(上海)、湖南図書館(湖南)、国家図書館(北京)、首都図書館(北京)、中央研究院傅斯年図書館(台湾)に所蔵される関連資料の閲覧・収集を行った。そのうち今年度は、出版・上演とも湖南地域を中心とする非常に局地的な流行をみせ、また内容も湖南地域と縁の深い、湖南出身の官吏(陶澍や彭玉麟)の地方巡察(「私訪」)をテーマとする「私訪」故事作品を取り上げ、その流行の出現の由来、およびそれらの清末民国初期における文学史的位置づけを、当時の社会・地域文化的背景を通して検討した。これらの成果については、10月に日本中国学会第六十二回大会において「清末民初湖南における『私訪』故事説唱の流通」と題して口頭発表を行った。また同題論文を『日本中国学会報』に投稿した。
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Research Products
(2 results)