2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22820072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩田 和子 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (90581819)
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Keywords | 説唱 / 清末民初 / 湖南説唱本 / 出版文化 / 中国文学 / 中国伝統演劇・芸能 |
Research Abstract |
清末から民国初期にかけて湖南省の各地で大量に出版された湖南説唱本の全体像を把握するため、日本は早稲田大学風陵文庫、演劇博物館、中国は上海、北京、湖南、広州に赴き、各図書館に収蔵される湖南説唱本の各種版本を網羅的に閲覧、収集した。 2010年度は、説唱文芸全体からみた湖南説唱本の位置を探るため、明の戯曲から清雑劇、地方戯、説唱など、各種伝承媒体を経て民間に広く流布した「秦雪梅」の物語を取り上げた。各種芸能にみえる「秦雪梅」故事の内容を比較検討した結果、南戯伝奇という古い層で流布する内容と、説唱文芸という新たな層で流布する内容との、大きく二層をもって伝承すること、特に全国的に流通する「秦雪梅」故事の基盤となったのは、湖南説唱本『新刻秦雪梅三元記全部』であった可能性を示した。この成果は2010年7月に山西師範大学戯曲文物研究所主催の東方文学与戯劇国際学術研討会で報告、2011年6月『黄霖先生七秩華誕師門同慶集』(鳳凰出版社)に「秦雪梅故事流伝考-以清末民初唱本為中心-」と題する論文発表した。 2011年度は、湖南説唱本の各種物語のうち、清代に湖広総督、両江総督、湘軍指揮官などの要職を務め、湖南を拠点に活躍した地元の英雄たちを主人公とする「私訪」故事作品群を取り上げた。これらは極めて限られた時間と地域で大量に出版され、流通した。この特殊な文化現象の起きた契機と、説唱本の流通における地方文化モデル成立の背景について、当時の社会事情や出版活動から考察し、その文学史的位置づけを検討した。この成果は、日本中国学会で報告(2010.10)、10月に文化視野中的中国古代小説国際学術研討会(中国四川省内江市)で報告、10月『日本中国学会報』第63集に「清末民初湖南における「私訪」故事説唱の流通」と題する論文を発表した。
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Research Products
(3 results)