2011 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀転換期における日本の芸術芸能の海外発信と受容―野口米次郎を軸として
Project/Area Number |
22820086
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
堀 まどか 国際日本文化研究センター, 研究部, 機関研究員 (20586341)
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Keywords | 芸術芸能 / モダニズム / 象徴主義 / 交流史 / 野口米次郎 |
Research Abstract |
1.20世紀初頭の欧米で、日本の芸術芸能がどのように発信され、受容されたかを解明するため、野口米次郎周辺の日本文化人と、英語圏文化人(ロンドン・インド)の交流の実態について、調査した。 (1)国内調査では、雑誌『詩と音楽』のなかにみられる、舞踊と音楽についての革新意識をさぐった。 (2)海外(ロンドン)での調査では、雑誌『Musk』の1900~10年代の動向をさぐり、ゴードン・グレイグの日本の芸能への関心の所在などを調査・検討した。 2.本研究でとりくんできた成果と方法論を問うために、バングラデシュ(ダッカ)のジャハンジナガル大学で行われた演劇学の国際学会に参加し、口頭発表を行った。本研究の方法や目的について、また野口米次郎と国際的舞踊家ウダイ・シャンカールの関係について調査結果を披露し、インドやバングラデシュの研究者たちから、大いに賛同と評価を受けた。また、他の発表者たちから本研究に関連する情報や知見を得ることができ、さらに同大学の英文学科や演劇学科の教授陣らと今後の共同研究の可能性や必要性について語り合うことができた。また、演劇や肉体表現を実践している立場の学生たちから、演劇の教育的な可能性や未来への方向性への思いを聞いているなかで、本研究の捉え方に関する教示を得た。加えて、現地で芸能を見る機会を得て、日本の能や歌舞伎と、バングラデシュの「語り」を主体にした地域芸能についての、比較考察を行うことができた。 3.本研究に関係する成果を加えたかたちで、著書『「二重国籍」詩人 野口米次郎』(名古屋大学出版会・平成24年2月)を刊行した。とりわけ、本研究でおこなった成果の一部として、第2章の19世紀末から20世紀初頭のアメリカ西海岸のアジデ受容とモダニズム芸術運動の兆しに関する研究を加え、第6章で日本の芸術芸能の発信と受容に関する日本側の潮流について、執筆した。
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Research Products
(3 results)