2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830116
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岩間 優希 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ボストドクトラルフェロー (00584096)
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Keywords | ジャーナリズム / メディア史 / ヴェトナム戦争 / 戦争報道 / 戦後史 / マス・コミュニケーション |
Research Abstract |
平成22年度には、本研究でいうところのヴェトナム戦争中期に活躍したジャーナリストとして本多勝一と石川文洋のヴェトナム報道を中心に分析した。両者が新聞や雑誌に書いた膨大な数の書籍、雑誌・新聞等の記事を収集するとともに、それらを1968~1972年の社会的状況に照らし検討した。 1968~1972年は、思想のラディカリズムが世界中で高まっていた時期である。そのような時代にあって彼らの報道は、「ヴェトナム反戦」と「北ヴェトナム・解放戦線支持」の潮流と相まって日本国内のみならず関連国に重要なインパクトをもたらした。それまで主流であったアメリカ側からのニュースに対し、日本人的目線でヴェトナム現地に入り込んでいった取材は、日本のヴェトナム報道「初期」に目立ったような劇的「スクープ」ではなく、見方や視点を変えることで人々の影響をもたらす傾向にあった。例えば、本多が政治家や兵士ではなく一般の「民衆」の言葉や毎日の日常生活をつぶさに観察するといった報道のスタイルがオーディエンスに支持された。また、石川の写真も、初期に目立った先頭の決定的瞬間を収めたシーンよりは、「民衆」の生活や素顔に迫ろうとする傾向を持ったものだったのである。ヴェトナム戦争中期の報道の分析から以上のような特性が明らかになった。今後は「後期」の報道を分析し、全期間を比較検証することで日本のヴェトナム報道の総体を明確化していく。
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Research Products
(5 results)