2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830116
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
岩間 優希 立命館大学, 衣笠総合研究機構, ポストドクトラルフェロー (00584096)
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Keywords | ヴェトナム戦争 / 戦争報道 / ジャーナリズム / 国際報道 / 戦後史 |
Research Abstract |
平成23年は、ヴェトナム戦争後期に報道を行ったジャーナリストとして古森義久、近藤紘一等のヴェトナム報道を中心に分析した。その際、彼らのヴェトナム戦争観だけでなく、なぜそのように認識するに至ったかの経緯を、実際の戦況と彼らの個人的経歴、戦争体験、所属メディア、取材時期・場所などの諸事項から分析し、他の時期の論者との比較、同時期の論者との比較を行った。 古森や近藤は南ヴェトナムに行った際にサイゴンの人々が必ずしも解放戦線支持ではないことに驚き、日本の報道から得ていた印象とのギャップに憤慨した。そして前世代の特派員たちを批判し、彼等とは逆の方向へと指向する報道を行ったのであった。実際は前世代の報道では彼らが「驚いた」ようなことも報道されていたのであるが、解放戦線寄りの世論の中では主流とならず、結果、後期のジャーナリストたちは日本で得ていたヴェトナム戦争観を否定する方向で報道を行っていったのであった。 以上の検証から、第1にヴェトナム戦争期間中におけるジャーナリストのヴェトナム戦争観の変遷を明らかにした。第2に、彼らのヴェトナム戦争観の形成は、現地で何を見たかや個人的背景のみならず、それ以前に日本の報道から形成された戦争観が大きく左右していることを検証した。 本研究の成果により、日本現代史にとってのヴェトナム戦争の一側面を明らかにし、また、60年代後半のラディカリズムの勃興および凋落が、どのような形で日本人のヴェトナム戦争観と連関しているかを提示した。
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Research Products
(9 results)