Research Abstract |
本研究では,符号,格子,頂点作用素代数という,互いに密接な関係を持つ数学的対象を,3者共通に定義される性質(最小距離,デザインなど)を用いて研究する事,更に得られた結果から,3者の類似性を明らかにしていく事が大きな目的であった.実際には,次のような結果を得ることが出来た. 研究代表者によって2<k<7に対して,位数2kの有限環上の自己双対符号の最小距離の上界が得られている.この結果の,k>6への拡張を試みた.その結果,部分的ではあるが,長さが百万以下の符号に対して,最小距離の上界を拡張できた.これにより,多くの長さの符号に対して,極限的符号が定義できた. Universally optimalという球面上の良い配置のクラスがある.田上真氏との共同研究で,この概念をユークリッド空間への拡張を試みた.その結果,ユークリッド空間の新たな良い点の配置のクラスを定義できた.この結果は現在投稿中である. また,10月から12月にかけて,Kansas State UniversityのHoehn氏を訪ね,共同研究を行った.射影空間のデザインとエルミート保型形式のフーリエ係数間の関係を明にした.これにより,エルミート保型形式におけるLehmer予想の自然な拡張が得られた. 極限的な2元自己双対符号からは,組合せ5-デザインが得られる.では,6-デザインが得られる事があるか否かは,古くからの未解決問題であった.この問題は,[Bannai-Koike-Shinohara-Tagami,2006]によって,多く符号に対して6-デザインが得られない事が示されたが,依然として完全な解決は得られていなかった.本研究において,新たな手法を導入する事で,約10の長さの極限的符号を除いて,6-デザインの非存在を,更に全ての極限的符号に対して,8-デザインの非存在を示した.現在,論文を作成中である.
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