2010 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ナノクラスターのゲル電気泳動法による分離手法開発
Project/Area Number |
22850013
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
綱島 亮 山口大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70466431)
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Keywords | ポリオキソメタレート / ポリ酸 |
Research Abstract |
POMクラスターは6から368個の遷移金属が酸素で架橋された分子性金属酸化物である。触媒として広く用いられている他、光材料・エレクトロニクス・医薬などの様々な分野でインパクトの高い研究が行われつづけている。一方、POMクラスターは有機分子の様に、合成実験の範疇で行える抽出やクロマトグラフィーによる分離手法に乏しく、結晶化が主な手法である。そこで、この確率的要素を含む"結晶化"に代わり、積極的な材料開発を可能にする様な分離手法の開発を目的とした。具体的には、"ゲル電気泳動"に着目し、サイズ・形状・組成に応じたクラスター分離の実現を目指した。 直径約3nmからなるリング状{Mo154}及び球状{Mo132}クラスター、及び両者の混合試料について電気泳動により評価を行った。ここで、{Mo154}クラスターは14価のアニオンであり、{Mo132}は42価のアニオンである。両者で形状が具なるものの、高い価数を有する後者の方が高い易動度を示し、混合溶液では、10分程度で両者を高度に分離できることを明らかにした。また、電気泳動後の試料について、赤外吸収スペクトル、紫外可視吸収スペクトルにより構造評価を行ったところ、クラスターは電気泳動により分解しないことを確認した。 また、価数(Z)とサイズ(Rnm)の異なる様々なクラスターについての評価から、高濃度に試料についての易動度はZ/R^2値に比例する傾向が明らかになり、これは、易動度が表面電荷密度で与えられるという既知のモデル式とよい一致を示した。ゲル電気泳動によりクラスターは分離可能であると共に、その易動度からクラスターの構造をある程度推測可能になった。合後、泳動条件の最適化や他の動電特性の評価と合わせて、泳動モデルの詳細を明らかにすると共に、従来結晶化しないために単離できなかった反応系について、電気泳動を用いた精製により新たな化合物の発見が期待できる。
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Research Products
(1 results)